『西荻ラバーズフェス』会場は桃井原っぱ公園という、住宅街にある広場です。そこに、音楽のステージのほか、飲食店・雑貨屋さん・古本屋さんなど、西荻窪のお店が大集合。さらには、"こたつ"が置かれた"ぬくぬくエリア"もあります。このフェスを発案されたのは、西荻窪の神明通りにキャンドルショップ『Greenbecks』を構える高橋 成彰さんです。

20160318hidden02.jpg

「きっかけは、僕、西荻の町でキャンドル屋をやっていて、キャンドルナイトとかイルミネーションをやらしていただいたんですけど、そのときに町の方からお喜びの声をいただいたんです。それがすごく嬉しくて。自分の仕事なんだけども、町のためにできたみたいな感じがあって。

そのキャンドルナイトが好評だったんです。ちっちゃい公園に150人くらいお客さんが来てくれて、それを商店街の人も喜んでくれて『いいね~、高橋君。イルミネーションとかもできるんじゃないの?』って話になって。僕、イルミネーションはやったことがなかったんですけど『じゃあ、やってみましょう』という感じで、それが僕にとっては大きかったんです。町のお仕事、お仕事って感覚はあんまりないですけど、そういう感覚を得られたというか。」

高橋さんが、西荻窪にやってきたのは2年前。アトリエを探していたところ、商店街に面した場所を見つけ、お店をひらくことにしました。そして、徐々に町の人との交流が始まります。実はこの春、フェスとは別に、近所の公園でこんなこともおこなわれます。

「そこの公園に大きい桜の木があるんですけど、毎年、近所の和菓子屋のおじいちゃんが20年以上、ボランティアでライトアップしていたんです。でも、そのおじいちゃんが年末に和菓子屋さんをしめてしまって、『今年から高橋君、できない?』って。

ボランティアでやらせていただくんですけど、それも嬉しくて。ただ桜に電気つけるだけなんですけど、それでもみんな喜んでくれるんだろうなって想像すると楽しみだったり。」

町の人が喜ぶ顔、訪れた人が喜ぶ顔。それが原点でした。ライトアップやイルミネーションのほかに、何かできないか?そう考えていたある日、高橋さんは偶然、ある公園を通りかかりました。それが今回のフェスの会場、桃井原っぱ公園だったのです。

「この杉並区にあんなにでかい芝生の公園があるとは知らなくて、企画書、一晩で書いちゃったんです。その企画書を持って次の日から、この人いっしょにできないかなっていう人に声かけだしたんですけど、そしたら『やるやる』って言ってくれた人が1週間で10人集まったんです。最初に声かけた10人も、いつも通りかかって小話するお客さんだったり、ほんとに普通の近所の人たち。スペシャリストを集めたとかじゃなくて、近所の人です。」

『西荻ラバーズフェス』の会場、杉並区西荻窪の桃井原っぱ公園には3つのステージが登場します。

「どこかのフェスみたいなドカーンとスピーカー組んで、みたいなのはできないので。ステージの台45センチしかないんですけど、近所の演劇をやっているところから台だけ借りてきて、ステージの屋根は僕の友達でサーカステントみたいな布でつくった幕を屋根にしている人がいるので、それを借りてきて。メインステージは、西荻はすごく素敵な喫茶店が多いので"喫茶ステージ"と言って喫茶店をイメージした装飾にしたり。もうひとつのステージは"古本屋ステージ"と言って、西荻は古本屋さんも多いので古本をモチーフにした作り込みになっています。」

こだわったのは、"西荻らしさ"。こんなエリアが用意されました。

「一番変わっているのは"ぬくぬくエリア"というエリアなんですが、ぬくぬくエリアはこたつがあります。西荻らしさを考えたときに、あたたかみとか人との距離とか、そういうのがあって、それを表現するのはこたつがぴったりだろうと思って。

芝生の上にキャンプ用のテントを置いて、そのなかにこたつがあるんですが、僕らお金がなくて。こたつが11台あるんですが、それをまかなう電力を発生させる発電機が借りられなくて、湯たんぽ(笑)。こたつでどんどん相席してもらって、いろんな人とお話してもらえたらなというのがあります。あとお見合い企画もあるんです。西荻を好きな人同士でカップルになったら、なんか素敵じゃないですか。」

主催するのは、イベンターさんでも放送局でもありません。町の人が、まさに手づくりで開催する『西荻ラバーズフェス』。実行委員長の高橋 成彰さんは、最後にこう語ってくれました。

「素人でもフェスができるって、面白いなって思うんですよね。しかも、町のフェス。いろんな町でみんなやればいいのにって思うんですけど。場をつくって楽しむ側というか、そういうのになるともっといろんなことが活発になりそうだなと。」

キャンドルナイトでご近所さんの喜ぶ顔を見て感じた『もっと そういう機会を作りたい』という想い。キャンドル・アーティストのそんな気持ちがご近所同士のあたたかい輪を街全体に広げました。集まった実行委員は34人、ボランティアは100人以上が 参加します。街を愛する人が、街の魅力を発信して、多くの人とシェアする一日。第1回『西荻ラバーズフェス』は、桃井原っぱ公園で開催されます。

20160318hidden01.jpg

西荻の美味しいところを集めた『西荻ラバーズフェス』

Date:2016年3月20日(日)

Place:杉並区立桃井原っぱ公園

入場は無料です!