泊まれる本屋!BOOK AND BED TOKYOに行ってみました。
池袋駅の西口からすぐのところにあるビルの7階。エレベーターの扉がひらくと、木でできた小窓に『BOOK AND BED TOKYO』の文字。その下にベルが置いてあります。「エレベーターから出ると、『BOOK AND BED TOKYO』というサインがあって、どこにもクロークが見えないんですけど、ベルを鳴らすと...窓が開いて奥からスタッフが出てきますので、ここでチェックインしてもらいます。」

ご案内いただいたのは、株式会社アールストアの代表取締役・浅井佳さん。チェックインして中に入ると、壁は 一面が本棚になっています。そしてよく見ると、本棚の奥にベッドが。

「ここがブックシェルフというタイプのベッドスペースになっていまして、本が並んでいる本棚をくぐり抜けて、本棚の奥に入るタイプのベッドになっています。青いカーテンがかかっているので開けると奥にベッドがある。幅は140センチ、長さは2メートルありますので、荷物なんかを置いても結構広く使っていただけると思います。」
そんな『BOOK AND BED TOKYO』。浅井さんにプロジェクトスタートのきっかけを教えていただきました。

「そもそもホテルをやろうと思ったのは、海外からの旅行客も増えてホテルが足りないというのは、いろんなところで言われていることだったんですけども、自分が泊まる立場で探してみると、実はあまり泊まりたいところがないというか。五つ星ホテル、もしくはビジネスホテルくらいの選択肢くらいしかないというなかで、自分たちが行きたくなる場所を作りたいなと。」
自分たちが泊まりたいと思うホテルをつくろう。では、それはいったいどんなホテルなのか?なんとキーワードは「寝落ち」でした。寝落ちと相性がよさそうな「本」。今、このホステルに置かれているのは1700冊。これはどうやって選んだのでしょうか?
「30軒くらい、本屋とかブックカフェとか、本を扱っているところを回って、その中で自分たちが一番しっくりくるディスプレイのされ方・本のラインナップってどういうものなんだろう?って話し合って。で、僕たちがまわったなかで一番しっくりきたのが渋谷区の神山町にあるSHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERSさんっていう本屋さん。マンガの週刊誌・哲学の本・写真集もあれば料理の本もある、という多彩なラインナップで、自分のなかにある潜在的な興味が呼び起こされるような、すごく不思議な本屋さんだったんです。そのSHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERSに選書をお願いしました。」
施設のデザインを手がけたのは、建築家の谷尻誠さん。そこには人と人をつなげる、こんな工夫が盛り込まれました。
「最初は、本棚があってバーカウンターがあってそこにスツールがあってみんなが並んで腰掛ける、みたいなデザインだったんです。でも、そうすると本が飾りのように見えてしまうような気がして。もっと実際に手にとってほしかったし、例えばその本をネタにふたりで会話するとか、この本面白いよねというコミュニケーションとか、知らない人同士が本を媒介にコミュニケーションするということが今、実際に起こっているんですけど、そういうことが起こってほしいなと考えて。バーカウンターではなくてすごく深さのあるソファ、デイベッドに近いものを置いているんですけど、区切りのないものにしていけば、椅子だと人との距離も決まっちゃいますけど、こういうソファベンチのようなものがあるなら近くにも寄れるし。」
ちなみに、入り口のドアには、こんな言葉があります。
「これが僕らの合い言葉ですね。"Have A Book Day!"Have A Good Dayをもじって、よい本のある日を、ということで。これが僕らスタッフの合い言葉になっています。」
海外からのお客さま、全国各地からの旅行客、そして、首都圏に暮らす人。「BOOK AND BED TOKYO」で、きょうも新たな出会いが生まれます。
合い言葉は、"Have A Book Day!"
●BOOK AND BED TOKYO東京都豊島区西池袋1-17-7 ルミエールビル7階
宿泊は3500円から。

