あの「かっぱえびせん」がリニューアル。やめられないとまらない秘密とは?
かっぱえびせんのリニューアルについてご紹介する前に、まずは その誕生について教えていただきました。カルビー株式会社 マーケティング本部の住谷みどりさんにお話をうかがいました。
「1949年に広島県でカルビーは創業したんですけど、最初のヒット商品が「かっぱえびせん」です。瀬戸内海なので、そこでとれる新鮮なエビが海辺で干されているのを見て、創業者が自分が幼い頃に大好きだったエビの天ぷらをお菓子にできないかという風に考えて、かっぱえびせんを開発したと聞いています。思い出の味を再現できるということもあるんですが、それまで小エビは捨てられていたようでそれを有効活用することにもなりました」
エビの天ぷらをお菓子にできないか?それが最初の着想でした。では、どうすれば、そんな味を実現できるのか?当時のスタッフの 試行錯誤がありました。
「エビもいろいろ加工の仕方を変えたりとかしたみたいなんですけど、生のものを丸ごと殻も全部使って生のまんま一緒に使うというのが一番美味しくて、製法としてはあいました。主原料は小麦粉なんですけども、そこにミンチ状にしたエビを丸ごと練りこんでおもちのような状態にします。で、その生地を食べやすい形にカットして乾燥させたあとに炒ってふくらませているんですね。そのふくらませたものにお塩をかけてできあがり」
1964年、東京オリンピックの年に生まれた かっぱえびせん。今回、リニューアルを決断した理由とは?
「消費者の方を対象に調査をおこなったところ、スナックを一番買っている30~40代の主婦の方たちの かっぱえびせんの購入が減ってきているというのが分かったんですね。やはり、毎週毎週たくさんの新商品が出てくる市場ですので、かっぱえびせんの愛着ですとかつながりが薄れてきているなということを感じまして、あらためて、昨年50周年ということもあったんですけど、商品の良さを知っていただきたいと思って、今回リニューアルすることにしました」
では、リニューアルのポイントは?
「コンセプトとしてはふたつありまして、おいしさと健康をきちんと知っていただいてもっと楽しんでいただく工夫をする、というのがありました。ひとつは、天然のエビをまるごと殻ごと練り込んでいるという特徴を分かりやすくするため商品に赤いつぶを練り込んでいます。目で見てエビが使われていることがすぐに分かるようにしました。それとパッケージのほうに、天然エビまるごと殻ごとカルシウムのロゴを大きく入れて、お子様の成長に必要な栄養素を含んでいるということを分かりやすく伝わるようにしました」
カルビー 最初のヒット商品でもある「かっぱえびせん」のリニューアル。実際、どんな風に進められたのでしょうか?

「リニューアル自体は、商品の企画と開発のチームでまずは進めていったんですが、かっぱえびせんで歴史が長いということもあって、ベテランの方から新人まで6人くらいのチームで担当しましたね。結果的には、みんなで協力してリニューアルできたんですが、カルビーの中でも最も歴史のあるブランドなので、発売当時のレシピはこれまでほとんど変更されることがなかったので、社員の思い入れもひとしおで、経営層だけでなく全国のマーケティング担当ですとか、販売する営業の者にもリニューアルのコンセプトや内容を伝えて納得してもらわなければならない、というのがありました。あと、レシピの配合を変えることで食感が変わる不安も出てくるので、それも製造の現場のメンバーに何回も立ち会っていただいてテストを重ねて、ようやくたどりついた、という感じです」
最後に、カルビー株式会社の住谷みどりさんに こんな質問。1年間に なんと 1億8000万袋も作られている、という かっぱえびせん。愛され続ける理由は、どんなところにあると思いますか?
「あまり知られていないかもしれないんですけど、カルビーの社名の由来というのがカルシウムのカルとビタミンB1のビーからできてまして、人々の健康に役立つという想いが込められているんですね。かっぱえびせんは創業の精神に根づいた商品であるということもあります。かっぱえびせんは51年前からあるロングセラー商品なので、小さい頃から慣れ親しんだ味として受け入れられているんだと思います。最初に買ったお菓子がかっぱえびせんだったという方も多くて商品と一緒に小さい時にスナック菓子を食べた思い出が根づいているんじゃないかなと思っています。自分の食べた思い出を自分の子どもに受け継いでいく、というサイクルがずっと続いていくといいなと思っています」
子どもの頃の思い出の真ん中にあるお菓子。その楽しい記憶を、次の世代にも 受け継いでほしい。そんな想いを ひとつひとつの袋に詰め込んだ リニューアルでした。