六本木から 外苑東通りを東京タワーのほうへ向い、飯倉片町の交差点をこえてすぐの右手。歩道に面したオープンテラスの上には、街路樹の緑その緑の向こうに、赤い東京タワーが見えています。「メゾン・ランドゥメンヌ東京」。フランス、パリで人気のブーランジェリーが 東京に初めて出したお店です。まずは、どんなお店なのか、オーナーの石川芳美さんに教えていただきました。
大きく分けるとパンがあり、お菓子があり、デリカっていうちょっとしたサンドイッチとか塩味のものがあり、あとフランスではやってないんですけど、レストランをどうしても日本では作りたかったんです。
というのも、日本でハード系で勝負していくのはハードルが高いんです。日本のパンというのは、主食ではなく嗜好品であって、でもフランスでのパンというのは主食ですから、おむすびとかごはんと一緒。副食と食べるというのがフランスのパンの食べ方なんです。
それをそのまま日本に持ってきたかったので、主食としてのパンを売るにはどういう提案をすればいいのかと考えたときに、食べ方の提案だったり、食べいただく機会を増やすのがマストだと思っていましたから、そうなってくるとやはりレストラン。
開店後すぐに大人気となった「メゾン・ランドゥメンヌ東京」。
しかし、ここに至るまでには、長い道のりがありました。石川芳美さんは、広島のご出身。地元で、パンの教室やパン屋さんを手がける日々のなか離婚を経験。その後30代で フランス、パリへ。2002年、パリ16区のお店でパン職人の仕事につきます。
そのときは100%の職人として働いていたのですが、職人って結構ヘルニアとかになるんです。私、肋骨がヘルニアになってしまって、激痛で仕事ができなくなってしまい、ドクターストップになってしまいました。
当時、パンを焼くことで何とか生活できていたわけで、これは困りました。そこで、事業家になりたいとずっと思っていたので、頭を切り替えて何か始めようと思い、今もありますけど、留学の専門のエージェントを立ち上げました。パンの専門留学です。
石川さんの肋骨は徐々に回復。職人さんとしての仕事もしながら日本からの留学を手配する会社も運営する毎日。そしてここで、運命の出会いがありました。
その留学の会社もなかなかいい感じで進みつつ、その辺でいまのうちの旦那と知り合うわけです。
パートナーが必要なので、受け入れてくれるフランス人づてに、「いいシェフがいて日本人を受入れてくれるよ」、という話を聞きながらいろんな方と会っていたら、その中に「できる職人がいるから行ってごらん」と聞いて、うちの主人ですけど...。
会いに行って、そこからどうなったかと言うと、実際会いまして、そしたら向こうは恋に落ちたというか(笑)この人と結婚したいと思ったみたいですね。
だけど私は、離婚もし、子どももいてフランスで再起をかけて、ほんとに子どもに自慢できる親になるっていうことを目標に生きていくと決めていたので、恋愛とかまったく興味がなかったんです。
ことごとく断っていたんですけども、主人のほうは、ほんとにあきらめなくて...ついに家に荷物まとめて転がり込んできてしまって。
パリで、ロドルフ・ランドゥメンヌさんと出会い、恋におちた石川芳美さん。その後ふたりは、、、
結婚すると決めたのは、彼がお店を出したいということ。
当時は雇われオーナーをやっていたんですけど、私と一緒になるために全部やめたんです。すべてゼロにして、次の展開まで、6ヶ月くらいあったのかな...その間は私の留学の会社で食べてたんですけど。
で、お店を出すのなら...銀行からお金を借りたりするのに、信用に関わるので結婚したほうがいいってことになって...それで結婚したんですよ(笑)。
2005年の12月に1号店がオープン。9区ですね、オペラ座から歩いて10分15分くらいかな。そこから私のマダム修行が始まりました。
「メゾン・ランドゥメンヌ」は、毎年一軒ずつ新しいお店をオープン。パリで8店舗、さらに、2010年、東京にパンの学校を設立しました。そして、今から1年半ほど前、「メゾン・ランドゥメンヌ」日本への出店を決めたのです。
いまパリで展開しているメゾン・ランドゥメンヌは、アンデュストリアルといって(産業革命の時代)その時代に工場で使っていた廃材をリメイクしてインテリアに使っていて、一番モードなんですよ。パン屋とアンデュストリアルっていうのはミスマッチなんです。メタルや石やタイルとの組み合わせなんですね、レンガとか。パン屋さんではミスマッチなんだけど、そこをうまくマッチさせていく。東京でお店を出すときに考えたのが、ちょっとクールだねっという空間作りはコンセプトに盛り込んでいきたいと思いまして、アンデュストリアル・スタイルは軸に持ってきました。
フランス、パリの空気をそのまま東京へ。その意気込みは、東京の人々に 予想以上の反響で迎えられました。オープン初日から多くのお客さんが詰めかけたのです。パリで8店、さらに東京でもオープンした「メゾン・ランドゥメンヌ」。お店の誕生の背景には、素敵なラブストーリーがありました。
パリの空気をそのまま東京へ持ってきた、というお店、ぜひお出かけください。また、パンの学校、さらに パンを学ぶために留学したい方のための会社も運営されていますので、興味をお持ちになった方はお問い合わせください。