いま話題の「おにぎらず」。その「おにぎらず」専用の「海苔」が売れています!今朝は、大阪の老舗海苔メーカーが仕掛けた ヒット商品の裏側に迫ります。今回、取材にお答えいただいたのは、1921年創業、大阪の海苔メーカー、ニコニコのり株式会社 商品開発部の桑原紀之さんです。まずは「おにぎらず」とは どんなものなのか、あらためて教えていただきました。

海苔の全形タイプというのを業界で言うんですね。これは21×19センチの大きい海苔、大判タイプですね。これをそのまま使います。その上にですね、ご飯をのっけまして、そこに自分の好きな、例えばハンバーグですとか、ハムですとか、カツですとか、野菜ですとかをのっけて、さらにその上にお好みでご飯をのっけてサンドイッチ状態にします。あとは四隅を風呂敷のように固めるだけで裏返すときれいな四角形になりますのでね、その四角形を上手に包丁で切ればできるという、それだけなんです。
この「おにぎらず」に ニコニコのりが注目したのは、去年の秋のことでした。ウェブで展開している「人気お弁当大会」...一般の方から 工夫をこらしたお弁当をつのり優秀賞を決める企画でおにぎらず関連のお弁当がいくつか目につくようになったのです。商品開発部のメンバーは、この「おにぎらず」について、インターネットで調べました。
おにぎらずなんだろう?ということで、ものすごくいまキャラ弁が凝ってるじゃないですか。保育園児さんのためにキャラクターを海苔でいろいろキャラクターを作って楽しく食べてもらう、という弁当が多いなかで、おにぎらずというのが今までなかったんですけど何品か出てきましたので、これはかなり一般の生活者のみなさまには浸透し始めているなというのがスタートでした。
ちょっと流行るなという感じを持ちましたので、実際我々も商品を作ってみましてね。わりと手軽にできますし、台所という作った人も汚れるのイヤじゃないですか、そういうこともなく、簡単な具材を入れてカッティングするだけでゴージャスに見えるということもあって、これは非常にヒットするなと思いました。
「おにぎらず」専用の海苔。 制作がスタートしました。
それでですね、通常の焼き海苔ですとご飯と海苔がくっつきますよね。どうしても物足りなさが出るんですよ。みんな、少し塩をふってみたり、だしを入れてみたり、という作業をしていましたので、それならば先に海苔自体にだしと塩をふって手間ひまを取り除いたほうが生活者のみなさまに便利じゃないかなと思ったんですよ。
海苔に 最初から 塩やだしで味をつけておく。数年前から販売している「おにぎり用の塩海苔」をベースに新商品を考えることになりました。
ポイントのひとつは、数ある海苔の中から、どんな海苔を使うのか?ということでした。
海苔を巻く際にですね、本当はやわらかい美味しい海苔のほうがいいじゃないですか。ただ風呂敷のように折りたたみますから、あまりいい海苔すぎても割れてしまうという欠点があるんですね。かといって、割れない海苔ですと、食べる時に食いちぎれませんというクレームもイヤですからね。そこのところの海苔の選定がポイントでした。今回の場合は、瀬戸内海のわりと細胞壁がしっかりしたところで、なおかつ美味しいモノがいいものがいいねというところにたどりつきましたので、、、あのですね、海苔の養殖方法によりまして、細胞壁がありますよね。要するに海苔自体を包む細胞の風呂敷みたいなもんです。それが本当は薄くて柔らかいほうが口に入れたとっきにどろっとして美味しいんですけども、少しそこが厚めのほうがいいのかなというところがありました。
選んだのは、ごはんをのせて折り畳むときに、やわらかいけれど、割れない海苔。ここに、味をつけていきます。
普通はしょうゆと砂糖と他の調味料、というのが普通の味付けのりなんですけども、我々欲しかったのはだしが欲しかったものですから、おしょうゆとか砂糖はあまり使わずにだしを中心に味をつけてみよう、というところからスタートしました。そのあとでお塩をですね、調味料の中にも、沖縄産のしままーすというやわらかい塩があるんですけど、それを入れておいて、一番最後にですね、伯方の塩さんの焼き塩がありましたので、それを上から振りかけて最終商品にしたというのが今回の商品です。
完成した商品の名前は、「瀬戸内海産 おにぎらず 塩海苔10枚」。発売開始は 今年の3月1日でしたが、その時点で、当初の年間目標を越えるほどの人気となりました。
こういう大きいサイズのまま何かに使うというのがメニューとしても存在しなかったものですから、ダイナミックに食べていただくにはいい機会だと思います。
来年で95周年を迎える老舗が手がけた「おにぎらずの海苔」。「海苔に親しんでもらえるいい機会になりましたね?」という問いかけに、商品開発部長は、あたたかい声で「まさにその通りです」。受話器の向こうから、海苔を愛する想いが伝わってきました。

ニコニコのり株式会社が販売する「おにぎらず専用の海苔」のHidden Story。キュレーションマガジンAntennaから話題をピックアップ、追加取材をしてお届けしました。通常の商品開発は半年くらいかけるそうですが、「おにぎらずの人気が来ている!発売を急ぎたい」ということで1ヶ月半ほどで制作されたそうです。そのかいもあって、空前のヒットとなっています。ちなみに、他にも いろんな海苔の商品、作られていましてちょっとしたおつまみを載せて楽しむ「のりピンチョス」という商品も販売されています。 より詳しくは、ニコニコのりのウェブサイトをチェックしてください。