京都で320年以上続く老舗聖護院八ッ橋総本店が手がける新しいブランド「nikiniki(ニキニキ)」のHidden Story

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1689年創業の聖護院八ッ橋総本店は、今も、開店当時と同じ場所で営業を続けています。そんな老舗中の老舗がプロデュースした新しいブランドが「nikiniki」。そもそも、ブランド立ち上げのきっかけは、、、

2010年の夏頃に「今nikinikiの店舗がある場所を使って聖護院さん、何かお店やりませんか?」という話がありました。繁華街のところですし、近くに百貨店もあって聖護院八ッ橋総本店のお店はその百貨店にも入っていました。そこで父である社長が「せっかくだから、聖護院八ッ橋とは切り離した新しい試みをしてみたらどう?」という提案をしてくれました。

お話をうかがったのは、聖護院八ッ橋総本店の専務取締役、鈴鹿可奈子さんです。大学で経済学、そしてアメリカ留学中にMBAの基礎を学んだ鈴鹿さん 別の会社で勤務されたあと、聖護院八ッ橋総本店に入社。2010年。新しいブランドについての検討がスタートします。そして、その源には、鈴鹿さんがずっと抱いていた想いがありました。  

「nikiniki」は私がプロデュースしていますが、私が小学校の頃に、実は母がプロデュースしていたカネールというお店がありましてカフェだったんですけど、このカフェでは生八ッ橋を使ったデザートを作っていたんですね。例えば、生八ッ橋をミルフィーユみたいに重ねてクリーム入れてそしてバナナとかチョコレートをかけたりとか、あとアイスクリームの上に細かく刻んだ八ッ橋をかけていたりとか、ほんとにおしゃれなデザートにしたお店があって。私は当時小学生ですし、母がよくその店に出ていろいろ試食したりとか店の者に指示をしたりしていたんですが、一緒に行って、待ってる間にそういうデザートを常に食べていたんですね。そこで、おふくろの味じゃないですけど、ちっさい頃から生八ッ橋といろんな食材をあわせたのが美味しくって、当時の味が忘れられなくて、また食べたいなと思うのと同時に、あんなに美味しい食べ方をもっとみんな知ってくれたらいいのになと入社してからずっと思っていて。

取材にお答えいただいた鈴鹿加奈子さんのお母様がかつてプロデュースした 生八ッ橋をデザートに使うカフェ、「カネール」。 「nikiniki」は、その流れを引き継いでいます。

一番最初に思いついたのが、「カレ・ド・カネール」という商品なんですけど、生八ッ橋とリンゴのコンフィをあわせる、、、これが当時のカネールというカフェで私が一番好きな食べ方だったんで、まずこれを、ということでここからスタートしたんです。カネールがフランス語でシナモンとかニッキの意味なので、それで母が名前をつけたので八ッ橋といえばニッキなので、商品にもつけているんです。

新しいブランド「nikiniki」。そこには、こんな願いも込められています。

「nikiniki」を作った理由で大きかったのが、地元の若い方とかで生八ッ橋、八ッ橋をあまり自分で買わない方に八ッ橋に触れてもらいたいというのがあったんです。元々、八ッ橋が生まれたのが江戸時代なんですけど、八橋検校さんというお琴の名手がいらっしゃって、聖護院の地にお墓があるんですけど、そこでお弟子さんとかファンの方がお参りに来られて、その方たちにお琴にちなんだお菓子をということでお琴の形をした焼き菓子を出したのが八ッ橋のはじまりなんです。だからほんとにそもそもはちょっと来られた方にお菓子を出していたというのがはじまりで、そういう気楽なお菓子だったのに、いつのまにかお土産ものというだけになってしまって。 みんなが食べてくれるきっかけに、新しいことをして、なってくれたらいいなと思っているんです。

ちなみに 「nikiniki」の着想となったカフェを手がけた 鈴鹿加奈子さんのお母様は、この新ブランドをどう見ているのかというと、、、

「あまり私は口出ししないよ」と言いながら、喜んで(笑)。そうですね、、、カレ・ド・カネールの味については私からアドバイスを聞くことが多いですね。そこはきっちり味をみてくれるので。季節の生菓子とかもできたら母に見せるんですけど、「かわいい」とか言って友達に持っていったりしてくれています。

街の人に愛されるお菓子でありたい。そんな気持ちが溶け込む 「nikiniki」の商品。 桜色の風のなか、母と娘のデザートが京都の街をいろどります。