今年1月から、「相続税と贈与税」の制度が見直しになりました。どのように変わったのでしょうか。今回は、東京税理士会の、船木 紀人さんに教えていただきます。

まずは、相続税と贈与税、そもそも どんな税金なのか、教えてください。

「相続税」は、亡くなった時点で財産を相続するときにかかる税で、「贈与税」は、生前に贈与された財産が対象となります。 相続税も贈与税も、財産の金額によって 税額が変わりますが、どちらの税金にも非課税枠があり、遺産や贈与財産の金額が一定額以下であれば、税金はかかりません。「贈与税」の計算方法には、毎年 1月から12月までの1年単位で計算する「暦年課税」と、「相続時精算課税制度」の2通りがあり、どちらかを選ぶことになります。

亡くなった時点で遺産を相続するときにかかるのが「相続税」。 生前に贈与された財産については、「贈与税」。 そして、「贈与税」には、「暦年課税」と「相続時精算課税制度」、2つの計算方法がある、ということ。その2つの違いは、どんな点なのでしょうか?

「暦年課税」とは、毎年 その1年間に受けた贈与に対して課税する制度で、1年間にもらった財産の合計額が年間110万円までは、贈与税がかかりません。ただし 従来は、相続する前 3年以内の生前贈与については贈与がなかったことにされ、その分は、相続財産に加算され「相続税」が発生していました。この期間が今回の見直しで、生前7年間に延長され、その期間に贈与された分については、相続税を支払う必要が生じます。一方、「相続時精算課税制度」は、相続する時点で、生前に贈与された分を 相続財産と合計して計算、一括して「相続税」として納税する方式です。なお生前贈与については、累計2500 万円の特別控除があり、この特別控除を使い切るまで贈与税は課税されません。また、今回、この相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設され、この年間110万円については、暦年課税のケースのように、亡くなる前にさかのぼって加算されることはありません。

贈与されたお金についての「贈与税」を支払う2つの制度、「暦年課税」と「相続時精算課税制度」について、「相続税」にも関わる基本的なポイントを解説いただきましたが、相続では 個別の状況でさまざまなケースが考えられます。「暦年課税」と「相続時精算課税制度」、どちらの方式を選択すればいいのか...詳しくはお近くの税理士さんにご相談ください。

今月は、「贈与税と相続税の制度見直し」がテーマでした。