今月は、東京税理士会の、廣瀨元昭さんにリスナーの「裕子さん」からの質問に 答えていただきます。質問内容は、こうなっています。

「別居している親を、扶養控除の対象にする場合の注意点を教えて下さい」

扶養控除...この言葉はよく聞く言葉だと思いますが、扶養控除、というのは、子ども・親など、扶養の対象となる人がいる場合、納税者の所得の一部が控除=つまり減税される、という制度です。

ではまずは、その扶養控除の対象となるのは、どんなケースでしょうか

税金の計算で、扶養控除の対象となるのは、その人の年間合計所得が48万円以下の場合です。さまざまなケースがありますが、例えば、65歳以上の親の収入が「年金だけ」の場合は、年金収入が 年間で158万円以内なら 対象となります。そのうえで、親と 「生計を一にする」 、言い換えると子供のお財布から親の生活費が支払われていれば、「扶養親族」となります。「生計を一にする」 とは、必ずしも同居を要件としないので、親と別居していても、定期的に生活費や療養費などの送金が行われていれば扶養親族にあたります。だたし、兄弟がそれぞれ親に仕送りをしていても、扶養親族にできるのは1人だけです。あらかじめ誰の扶養にするかを話し合っておくと良いでしょう。

今、社会保険で106万円の壁、などが話題になっていますが、税金の場合は、これと違って年間合計所得が48万円以下、また、収入が年金だけの場合は 年間で158万円以内であれば扶養控除の対象=扶養親族になるんですね。では「扶養親族」である、ということを証明するために必要なのはどんなことでしょうか。

扶養控除の申請は、年末調整または確定申告で行いますが、会社員の場合は「給与所得者の扶養控除等申告書」という書類に必要事項を記入して、会社に提出するだけです。

ただし、勤務先から生活費や療養費などの「送金している事実」の確認を求められることがあります。銀行振込などで送金している事実を証明できるよう、振込票を保管しておくとよいでしょう。

会社員の場合は、年末調整の際に、申告書を提出するだけで、手続きは終了。*配偶者や子供を扶養する場合と同じですね。ただ、勤務先から「送金している事実」の確認される場合に備えて、銀行振込の振込票などを保存しておくとよい、とのことです。具体的な条件などはケースバイケースとなりますので、詳しくはお近くの税理士さんにご相談ください。今月は、「別居している親族を扶養家族にする場合の注意点」がテーマでした。東京税理士会の、廣瀨元昭さんに教えていただきました。ありがとうございました。