毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として税理士さんによる税のワンポイント解説をお届けしています。

今朝は、リスナーのかおりさんからの質問です。「成年後見人という制度があるようですが、どんな制度なのでしょうか。成年後見人にできるのはどんな手続きで、資格などはありますか。」ということなのですが、今月はこの質問について、東京税理士会の小野 陽子さんに教えていただきます。

まずは、成年後見人制度とは、どんな制度なのか、教えてください。

成年後見人制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が十分でない方々を支援し、財産の保全と管理を行う制度です。成年後見人制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つがあります。

まず「法定後見制度」は、本人の判断能力が低下してから、親族などが家庭裁判所に申し立て、本人をサポートする制度です。家庭裁判所が判断能力の程度や本人の事情を把握したうえで後見人を決定します。

一方、「任意後見制度」は、本人に十分な判断能力がある内に、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、本人が選んだ代理人を任意後見人として、自分の財産や財産管理に関する事務についての契約を公正証書で結んでおくというものです。この契約によって、自身の判断能力が低下した時、事前に作成した契約内容に従い、後見人が本人の財産管理を行います。

「成年後見人制度」は、判断能力がない人のサポートをするという制度で、そして大きく分けて、本人の判断能力が十分でないときに家庭裁判所が後見人を決定する「法定後見制度」と、本人があらかじめ指名する「任意後見制度」のふたつがあるということですね。

それでは、具体的に、「成年後見人制度」で、お金の管理はどのようにおこなわれるのでしょうか?そして、税理士さんに成年後見人を依頼するメリットはどんなところにあるのでしょうか?

成年後見人は、就任時に財産目録と年間収支予定表を作成し、その結果を家庭裁判所へ報告します。また、毎年一回決められた日までに、家庭裁判所へ後見事務報告書と財産目録を作成し、収支状況報告書も提出します。

もし不動産所得などがあるのなら、成年後見人が確定申告を行います。なお、ご本人が亡くなった場合には、家庭裁判所へ報告と管理計算を行います。相続人から依頼があれば、相続税の申告書を作成し、相続人へ財産の引継ぎまでサポートします。

税理士に成年後見人を任せるメリットは、やはり財産管理に精通し、確定申告などにも対応できるため、手続をワンストップ的に進められることではないでしょうか。

成年後見人には、親族がなる場合や、弁護士さんなどがなる場合もありますが、財産管理という面では、税理士さんがさまざまな書類作成や報告などについて精通しているのでその点で税理士さんにお願いするメリットがある、ということですね。より詳しくは、お近くの税理士さんにご相談ください。

今月の税のワンポイント解説は、「成年後見人」について、東京税理士会の小野 陽子さんに 教えていただきました。