今年4月から、いくつか税制が変わります。そのひとつに、未婚のひとり親のみなさんに向けた 税制上の支援策があります。今朝は、この税制について詳しく教えていただきます。東京税理士会の浅野ますみさんお願いします。

ひとり親についての税制としては、これまで、配偶者と死に別れ、あるいは離婚した人(寡婦と言いますが)、この方たちを対象に、所得税や住民税を軽減する「寡婦控除」という所得控除の制度がありました。ところがこの制度、法律婚が前提になっているので、未婚のひとり親は対象にならず、さまざまな格差が生じていることが長年、問題になっていました。

今回の改正では、親の婚姻歴を問題にするのではなく、子どもの支援をメインにすべきだとして、未婚のひとり親も対象に加わることになりました。ただし、パートナーと同居する事実婚はのぞかれます。

また、男性のひとり親だけに 500万円以下という所得制限がありましたが、女性のひとり親にもおなじ所得制限が設けられることになりました。

まとめますと、ひとり親は、未婚・離婚・死別の原因や男女を問わず、年間所得が500万円以下ならば、所得税で35万円、住民税で30万円の所得控除が受けられることになります。 

耳馴染みのない言葉が出てきました。「寡婦(夫)控除(かふ・こうじょ)」~作家などで作品が少ない人のことを寡作、と言いますがその寡作の「寡(か)」に、女性を表す婦人の「婦」、または「夫」という漢字で、寡婦控除。そうした寡婦、配偶者をなくした ひとり親のみなさんには、税金の控除があるんですが、これまで、未婚のひとり親は、対象になっていなかったんですね。 

~ちなみに、2016年の厚生労働省の調査では、母子世帯に占める「未婚の母」の割合は8・7%で およそ10万世帯。そして、この数字は、増加傾向にある、とのこと。また、未婚の母親の平均年収は、およそ177万円で、母子世帯全体のおよそ200万円より 低くなっています。なぜ、未婚の親には、控除が適用されないんだ??という声も以前からあったようなんですが、こうした社会状況に合わせて法制度の見直しが行われたということですね。この改革によって、子どもの教育格差の是正も期待されているということですが、ではこの制度はどのようにしたら適用されるのでしょうか?

お勤めの方は、年末調整で会社に申告をして控除を受けることができます。また個人事業主の方は、確定申告で受けることができます。寡婦(夫)控除は、会社への申告でも、確定申告でも、プライバシーの問題もあって 見落とされがちです。

自分で申告することで受けられる制度ですから、どうぞご注意ください。そして、ご不明な点はお近くの税理士にご相談ください。

この制度は、2020年度、令和2年度の所得から適用されます。該当する方は、申告をお忘れなく。会社員で確定申告をしない方は、会社への届け出をして下さい。また個人事業主の方は、来年の確定申告で控除を受けるということですね。

今月のワンポイント解説は、東京税理士会の浅野ますみさんでした。

ありがとうございました。