今週は、月に一度の恒例企画、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによるわかりやすい税のワンポイント解説をお届けします。

今回は、リスナーのラジオネーム:yukichiさんからの質問にお答えいただきます。

質問内容は、、、

「私の妻は、アルバイトをしていますが、社会保険料を引かれると大して残らなくてカツカツの生活になってしまいます。配偶者の扶養控除を受けるためには、どれくらいの収入であれば 良いのでしょうか。」 

東京税理士会の 千田善之さんにお答えいただきます。

千田 おはようございます。東京税理士会の千田喜之です。配偶者控除を受けられる配偶者の収入は、現行では103万円となっています。これがいわゆる「103万円の壁」で、103万円を越えた金額に対して所得税がかかってきます。そして100万円を超えると住民税がかかってきますので、103万円を超えると所得税と住民税の両方が課税されるという事です。この「103万円の壁」というものが女性の社会進出を阻害していると問題になっていまして、「配偶者控除」を廃止して、「夫婦控除」の様なものに変更され、「壁」がなくなるように検討されています。早ければ再来年から改正されるかもしれません。

その他に、社会保険に加入しなければならない「130万円の壁」というものもあります。奥様が130万円を超えると、奥様が旦那様とは別に、社会保険に加入する必要が出てきます。健康保険と厚生年金ですね。それを妻自身が支払う必要が出てくるため、夫婦の手取り額が減ってしまいます。こちらは来月から従業員数が多いなど、比較的大きな会社は「106万円の壁」ということになりますので、ご注意ください。

最後にあった「106万円の壁」に該当するのは、

  1. 週に20時間以上働いていて
  2. 年収106万円以上
  3. 1年以上の雇用が見込まれる
  4. 従業員が501人以上の企業で 働く人のことで、

こうした方は、社会保険に加入しなければならない、ということ。 こちらは、10月、つまり明日からの新しい制度です。数字がいろいろ出てきて、なかなか、金額の調整が難しそうですが、、、千田さんからは、こんなコメントもいただきました。

奥様の収入が160万円を超えれば夫婦の手取りは確実に増えます。確かに社会保険の加入義務が発生しますが、厚生年金保険料の半分は会社が負担してくれるのです。老後のことを考えてみれば、国民年金にプラス厚生年金も受け取れるというメリットが発生するわけです。160万円以上であれば確実に手取りは増加しますので、働く余裕のある方は、できる限りがんばって働きましょう。

家庭の事情や 子育てなどで、時間の制約がある方には、厳しいかもしれませんが、、、「160万円以上」だと、確実に夫婦の手取りは増加する、ということです。

ラジオネーム:yukichiさん、、、いかがでしょうか?

さて、最後に、東京税理士会の千田善之さんからお聞きのみなさんへのメッセージです。

我々は税の専門家として「公平な税制」を政府に意見を提案しています。その他にも東京税理士会では「納税者とユナイトする」ということで、様々な公益活動をしています。具体的には、主に小・中・高校で行っている 「租税教室」、確定申告時期でおなじみの「税の無料相談会」、そして「成年後見人の活動」が大きな3つの柱となっています。日本は4人に1人が高齢者、そのうち500万人が、認知症高齢者とも言われています。我々は財産管理のエキスパートとして、後見人になって財産管理のお手伝いをさせて頂いております。ぜひ東京税理士会 成年後見センターにお気軽にお問い合わせください。