先週に引き続き、今週も、私、ジョン・カビラが取材をしてきた模様をお届けします。
お邪魔したのは、本州最北端!青森県・下北半島の「むつ市」から車で30分ほどで到着する「尻労漁港」です。
お尻の「尻」に、労働の「労」と書いて「しつかり」。このあたりは津軽海峡と太平洋の潮が混ざり合う豊かな漁場で、同じ青森県の「大間」と並んで、マグロの水揚げでも有名な漁港です。こちらで、昔から食べられている猟師メシについて、伺いました。
JK わたくしジョン・カビラ、青森県下北郡東通村にあります、尻労漁港にお邪魔しています。ここでは、下北地方の漁師メシと言われる「タコの道具鍋」をご紹介いただけるということで、お話を伺うのは、尻労漁業協同組合の向井宣子さんです。

向井 よろしくお願いします。
JK 「タコの道具鍋」、どういうお料理なんでしょうか?
向井 タコの内臓を味噌で味付けした鍋になります。
JK ユニークなのは「道具鍋」!道具ってどういうことで(名前が)ついてるんでしょうか?
向井 タコの頭って、頭じゃなくてほんとはこれ胴なんです。
JK 胴体なんですよね、はい。
向井 中に、内臓、具が入ってることから「どう・ぐ」って漁師さんたちが昔から言ってる由来だと聞きます。
JK で、実は岸壁にですね、テントを張っていただいて、そこにテーブルがあるんですけれども、コンロの上には鍋があります。向井さん、ちょっと開けていただけますでしょうか?
向井 はい。
JK 開きました、う~ん、なんともいえないこの旨味たっぷりの香りがするんですがここにあるのが道具の具なんですね?内臓?

向井 はい。
JK どういった内臓になるんですか、これは?
向井 白子、はらわた、胃袋、あとは・・・
JK 肝とか入ってるわけですね。
向井 いろいろ入ってます。
JK で、ほかの具材としてはニンジンがあったり、おネギがあったり
向井 白菜ですね。
JK 白菜が入ってます。下味はどういう?
向井 味噌だけです。
JK 味噌だけ?!
向井 あと昆布で出汁をとってます。
JK なるほど。これを漁師さん達は?
向井 たぶんまかない食として食べてたらしいです。ずっと昔から。
JK 漁を終えて帰ってきて、港で。これは作り方の手順としては?
向井 白菜を、とりあえず野菜をブツブツ切って入れて、味噌味をつけて道具(具)を入れて、あとはネギを入れて、完成です。簡単です。

JK 非常にシンプルですねぇ。向井さんが道具鍋を(最初に)召し上がったのはいつでどういうシチュエーションだったんですかね?
向井 20年前にこっちにお嫁に来て、その時に旦那のお母さんが作ってくれて、ちょっと最初は気持ち悪かったんだけど(笑) 食べてみたら美味しいなと思って(笑)
JK (笑)ま、たしかに未体験の人ですと、え?タコの中身ですか?みたいな感じ。ところが実際食べてみたら・・・
向井 意外といけましたね。
JK なるほど。20年前、目からウロコが落ちたという向井さん、僕のウロコも落としましょう。
向井 落としてください(笑)
「尻労漁業協同組合」の向井 宣子さんに地元で漁師メシとして食べられている「タコの道具鍋」について教えていただきました。
漢字では「ツール」という意味の「道具」と書きますが、もともとはタコの「胴体」に内蔵、つまり「具」が入っていることから「どう・ぐ」と呼んでいたとおっしゃっていましたね。
内臓に火が通りにくく、弱火で30分ほど煮る必要があるため、当日は事前に下茹でしたものをお持ちいただき、ガスコンロで温めて仕上げていただきました。
さて、「タコの道具鍋」、どんなお味なんでしょうか・・・?
【タコの道具鍋】(鍋2~3人前)

タコ(オス使用)の道具500g
だし昆布 1片
白菜 4分の1カット
ネギ 1本
味噌 100g
水 500g
- 水に、だし昆布と白菜、タコの道具を入れて煮る。
- 沸騰したら火を弱火にして味噌を入れる
- 最後にネギを入れたらすぐ火を止めて出来上がり

タコの内臓、つまりホルモンを使ったお鍋ということで、独特の味がするのかなとも思ったんですが・・・これが意外とあっさりした味わい。お味噌と具から出た塩味も、ちょうどいいバランスでしたね~。地元でも、猟師さんや漁師さんに近い方が営まれているお店でしか、なかなかいただくことが難しいというお話もありましたね。
もしも、新鮮なタコがまるまる一杯手に入ったら、作ってみてはいかがでしょうか?向井 宣子さん、そして尻労漁業協同組合のみなさん、ごちそうさまでした!

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