今回お邪魔したのは、本州最北端、青森県・下北半島の「むつ市」から車で30分ほどで到着する「尻労漁港」です。

お尻の「尻」に、労働の「労」と書いて「しつかり」と読みます。現地で、船からの水揚げの様子を拝見。そして地元の漁師さんにお話を伺うことができました。

JK わたくしジョン・カビラ、青森県下北郡東通村にあります、尻労漁港へとやってまいりました。どのあたりかといいますと・・・青森県の下北半島ですが、金太郎が持っている「まさかり」ですよね、斧とかあります。そういう形をしています。刃のほうが西のほうに向いているというところでその握る取っ手の先端あたりというイメージになるでしょうか。さぁ、ここではどんな漁がおこなわれ、どんなお魚たちが水揚げされているのか、お話を伺うのは尻労漁業協同組合の林 良一さんです。林さん、おはようございます!この「尻労」という地名ですけれども、これ実はアイヌのみなさんの言葉なんですね?
林 そうですね。アイヌで「行き止まり」とか、そういう意味の言葉になります。
JK とか「山の手前」とか。
林 はい、そうですね。
JK で、このうしろのほう山がありますけども、これ「桑畑山」?
林 桑畑山です。
JK という位置なんですね。これもちろん私たち太平洋を臨んでるんですけども、北の方が津軽海峡。どういう漁場なんでしょうか?
林 そうですね、津軽海峡のから抜けてくる潮と太平洋側の潮と、尻屋崎でぶつかってちょうど巻いてくるあたりになるんで、魚は豊富かなと思います。
JK 林さん、さきほど第七長栄丸ですか、がやってきました。
林 いまちょうど水揚げしてるんで、行ってみますか?
JK 参りましょう、お願いします。
JK これ、あの船内にクレーンがあって、そこでもういっぱいのカゴ、ぎっしり詰まってますね!これイワシ?

林 そうですね、イワシですね。
JK うわぁ~。それで大きな網ですくいあげて、それをまたクレーンのフックにかけて。

林 で、大きい出荷用のタンクに移していくっていう。で、氷と水で締めて出荷っていう感じですね。
JK うわ、もう網がぎっしりですね。
林 たぶんこれ(網)1つで1トンぐらいは入るんで。
JK いま、私たちの目の前は第七長栄丸ですけども、だいたい何時ごろ出航して?
林 朝、今で5時ぐらいですかね。
JK 朝5時。で、今・・・
林 9時前ぐらいですか、だいたい3時間半、4時間ぐらいの操業、ま、魚の獲れ高次第で時間は変わってくると思うんですけど。
JK で、これ捕り方は定置網?
林 定置網ですね。
JK どのぐらい沖になるんですかね?
林 こっからだと1キロちょっと、2キロいかないぐらいですかね。
JK この時期はイワシですか?
林 そうですね、イワシ、で、イワシを追ってマグロだったり、ほかの魚がっていう感じですね。
JK イワシを追いかけてマグロが付いてきてくれるわけですね?
林 そうですね。
JK マグロは贅沢な魚ですね。
林 そうですね。
イワシを水揚げする様子を見ることができたのですが、まず、船の水槽に入った何十トンものイワシを大きな網ですくいあげ、出荷用のタンクに移していました。タンクがいっぱいになると、それをフォークリフトで別の場所に移動、機械を使って大量の氷を入れていました。

ダイナミックな作業でしたね~。さて、この尻労漁港は、津軽海峡と太平洋の潮が混ざり合い、大変豊かな漁場だ、というお話もありましたが、イワシ以外には、どんなお魚が水揚げされているのか、改めて、林さんに伺いました。
JK 林さん、尻労でおもに獲れる魚の種類、ちょっと教えていただけますか?
林 今でいうとマグロであったり、タイであったり、夏場はイカであったりブリ、あと底建網になるとヒラメ、カレイ、あとはソイ、メバルなど根魚がメインになりますね。
JK かなり種類豊富で。
林 そうですね、種類は結構豊富なほうですね。
JK 漁獲、昨今、どういう動きですか?
林 やっぱり温暖化のせいなのか、冬獲れるメインであったサケとかが少なくなってるっていうのがあって、で、漁獲枠が設けられて漁獲規制かかってからのマグロは増えた気がしますね。
JK 国際的な取り決めでね、マグロの漁獲量は・・・
林 そうですね、どうしても獲れない部分はあるんですけどそれでも増えたなっていうのは実感はしますね。やっぱ目で見えて(マグロが)跳ねてるのとかも見えるんで。規制も大事なのかなとは思いますね。
JK 一定の規制、というか一定の管理をすれば、漁獲(量)も将来的にも担保できる。
林 そうですね、持続可能になってくるのかなとは。やっぱりしっかり保護しながら決まった量を獲って流通が安定すれば価格も安定してくるのかなと思いますね。
JK 考えてみたら雨が降って山が潤って、その山から川、海に入ります。そこにいろんなミネラル分が含まれていて、それをまた命の糧として食べてくれるお魚を(人間が)いただくって形ですものね。
林 そうですね。
JK もう完全に循環してますよね?
林 はい、なので東通村でも漁業者が植樹祭やったりとか山の方も潤す活動はしてます。
JK やはりそういう循環してるって意識、みなさんお持ちなんですね?
林 そうですね。
JK でも、超長期プランですね?
林 そうですね、なるべく長く続いてほしい、これから先もあるようにという意味で毎年6月くらいに・・・
JK 素晴らしい。
JK 林さん、つかぬことを伺いますけれども、あの、世界的なサッカーの大スター、デビッド・ベッカムさん、ゆかりがあるんですって?
林 そうですね、自分も友達から画像を見せてもらって知ったんですけど、日本に来た際、銀座の寿司屋さんでマグロを食べている写真見たんですけど、そのマグロが尻労産のマグロっていうことで紙が貼ってあって「あ、ベッカムも食べたんだ!」って、ちょっと感動しましたね。
JK しかし、それがまた尻労漁港からってピンポイント、これ嬉しいですね!それとちゃんとトレーサビリティというか、しっかりトレース(追跡)されてるってのも嬉しいですね。究極のブランドですね!
林 そうですね、もっと知ってほしいですね!
JK はい。いや、ほんとに素晴らしい海の幸、ここから始まるんですよね?
林 はい。
JK 食卓に届くのを心待ちにしているリスナーのみなさん、お店に並んでますので、ぜひとも、そしてぜひお魚屋さんとか、林さん、スーパーで「これどこ産ですか?」って 一言聞いてほしいですよね?
林 ぜひ、聞いてほしいですね。
JK ひょっとすると、青森・尻労からのお魚があなたの目の前に並んでいるかもしれません。いろいろお話を伺いました、林 良一さん、ありがとうございました。
林 ありがとうございました。
漁獲量が減っている魚がある中で、マグロはよく見かけるようになった、というお話がありましたよね。2015年から国際的な枠組みで漁獲量を制限しているクロマグロですが、その規制から10年となる今年、資源量が回復傾向にあることを受けて日本の大型魚の漁獲枠が1.5倍に増えたこともニュースになりました。
獲りすぎないよう、一定の規制を設けることで、これからもずっと、私たちは美味しいマグロを食べることができる、ということなんですよね。
そして、実はお話を伺ったあと、ベッカムも舌鼓を打った尻労のマグロ、いただいちゃったんです!赤身、中トロ、大トロ、脂の乗りも最高で、別格の美味しさでした!

そして、漁師のみなさんが山をうるおすため「植樹祭」に参加している、というのも、サステナブルのための素晴らしい取り組みですね!
林 良一さん、そして尻労漁業協同組合のみなさん、ありがとうございました!