皆さん、日々、動画やテレビ、ネットなど見ている際に、広告がよく出てくるな~と感じられていませんか?サブスクでもCM入り、CMなしで値段が変わったり、色々な形に変化を遂げている広告業界ですが、今朝は、6月に開催された世界最大級の広告賞の一つ、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」を取材されてきたジャーナリストの野上英文さんに最新の世界の広告業界の動向について、事前にお話を伺った内容、お届けします。

*NewsPicks Brand Designでは、Editorial Directorをされている野上さん。マーケティングのコンテンツを企画、監修されていますが、6月に開催された「カンヌライオンズ」も取材されたそうですね?
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世界三大広告祭典の一つとは言われていますが、カンヌライオンズは、他の2つとは頭一つ突き抜けている存在。世界90カ国以上から2万6千点が出品されており、そこから受賞に当たるものが3%というかなり狭き門。また72回という開催数や5日間にわたる祭典というところもかなりの熱気というか、注目度も非常に高いものでした。
*最近の広告業界の流れとしては、体験型、というようなものがあるそうですね?
広告業界の流れとしては、今、皆さんがスマホを使っている時間や外で過ごしている時間の中で時間の奪い合いみたいなところがあるので、どんどん広告マーケティングが邪魔なものというふうに思われがち。そんな中で、一緒に楽しめるというか、味わえるような工夫が、一つの作り手側の意図としてありました。
*今回のプレゼンテーションの中にも面白いものがあったとか。いくつか事例を挙げていただけますか?
コロナやバドワイザーなどを手掛けている世界的なビール会社のアンハイザー・ブッシュ・インベブという会社のグローバルCMOのマルセルさんという方が瓶ビール片手にプレゼンしたのですが、彼らがやったキャンペーンでは、サッカーの試合のビデオ判定の際に、視聴者に予測させるというものを行ったそう。画面にQRコードを出して、判定を予想させるというものなんですが、当たれば、ビールの割引やチケットなどがもらえるという体験に組み込まれた広告によって、通常の2倍の売り上げ効果が出たそうなんです。またそのプレゼンテーションの最後にもスクリーンにQRコードを映し出して、1組に無人島ご招待というプレゼントを出して、現場にいたマーケターたちがザワザワスマホを取り出すという姿も見られて、ユーモアあふれるお土産を用意していました。
他にもインドのプレゼンテーションでは、鉄道のチケットを使って無銭乗車を解消したという施策。宝くじが大好きという国民性に着目し、切符に鉄道会社が固有の番号をつけて、宝くじにしてしまうことで、皆、チケットを買うようになったという事例でした。
*ちなみに、日本の広告は、世界ではどう捉えられているのでしょうか?
日本の広告業界も今回もエントリーしてるんですけれども長らく言われているガラパゴス的な部分が指摘されています。日本は国内での知名度が高いタレント偏重型の広告をやりすぎたんじゃないかと。そこに対して、やはりなかなか国際的な評価されづらいというところがあると思います。
*では、今後の日本の広告の展望は?
カンヌライオンズで今年一つ盛んに出ていたのが「ユーモア」というキーワードがあります。これまで、なかなか真剣に、シリアスにならざるを得ないという時代があったんですが、今の国際情勢厳しい中でやはり広告マーケティングには、少しでもくすっと笑えるようなものをいれられないかというような動きが出ていると思います。そんな中で、日本のクリエイティブ広告に関しては、ユーモアを入れるという事は、半分炎上リスクとの向き合いなので保守的にならざるを得ない・・・でも一方で、リスクをとり、ユーモアを入れたマーケティングキャンペーンというのが、今、世界の潮流になっているので、そこが難しいところです。
そして、もう一つはAIの活用です。
一体何ができるのか、どうやって使うのか、みたいなところの議論がこれまでカンヌでもされてきたんですが、今年は明確にAIを使った場合は、どこになぜ使ったのかというのを審査の段階でエントリーの段階から入れないといけなくなってまして、広告マーケティングで、AIの使い方、その必要性など、AIによる作り方が世界同時進行で進んでいます。なので、日本、世界の区別なく注目すべきポイントかなと思います。
そして、最後は日本にも希望ある話なんですが、今回非常に注目されたものの一つが、「字幕」でした。イントネーションがわかるものなど、字幕が非常に進化していると。日本や韓国では、字幕文化が進んでいるので、当たり前のことなんですが、これがワールドワイドな視点で展開できたかということ。
日本における広告マーケティングの手法は、もう一度グローバルな視点に捉え直して表現を変える、もしくは、ちゃんと分かる形で伝えるというところがポイントかなと思います。
体験型広告・・・色々な手法、アイデアが採用されているんですね!ぜひ皆さんも印象に残っている広告、日本の広告について思うところなど、Xやメッセージでお寄せください。
