卒業シーズン、これから、新しい道へ進む方、新たなキャリアを始める方、いらっしゃると思いますが、必修科目に「そば」の授業があるという、北海幌加内高等学校では、卒業生の進路として、「海外」という選択肢があるようです。

今日は、実際に北海幌加内高等学校の卒業生を採用しているというドイツ・デュッセルドルフの蕎麦屋さん「蕎麦庵」のケースをご紹介します。こちらの店長、佐々木環真希さんにお話を伺います。

20250321f03.jpg

佐々木さんは、北海幌加内高等学校のご出身で、北海道のそば打ち大会団体の部の優勝メンバー!高校で蕎麦打ちの技を身につけて、海外で活躍されています。北海道から、ドイツへ・・・驚きの就職先ですね。もともと海外での就職を目標に?

20250321f01.jpg

私が在校のときはそういった制度は全くなく、ただ私の育ての祖母が海外に興味があって、ぜひともということで、当時の高校の教頭先生も思いを汲み取ってくださって、最初はニューヨークやマレーシアの蕎麦屋さんが候補だったんですが、ドイツで北海道出身の個人経営をやっていたオーナーさんと知り合って、こちらに来ました。

*高校卒業後、すぐにそちらに行かれたんですか?

はい、4月に渡独して、51日から働き始めました。ドイツ語は全くできないところからのスタートでした。

*そして、今年も後輩が採用されたそうですね?採用のポイントは?

そば打ちの技術などは、まったくもって未知というか、わからなかったんですが、幌加内高校出身ということで、学校の校風やそば打ちに対する姿勢は変わっていないと思っていたので。こちらでは、蕎麦打ち職人がなかなか見つからないので、私が幌加内高校にアポイントを取ってみることを提案して実現しました。

*先輩からのアドバイスとしてはどんなことを伝えたんでしょうか?

まったくもって日本のお客さんとは違うので、とにかくどれだけ蕎麦への愛があるのかという話はさせていただきました。

20250321f02.jpg

*蕎麦庵・・・ドイツでも貴重な本格的な蕎麦がいただけるお店ということですが、日本とは素材や水なども違うと思いますが、そちらで美味しい蕎麦を作るコツは?

まずお水は軟水・硬水とあると思うんですけれども、ドイツは硬水で、なかなか食材に使うには向いてないんですね。なので、軟水を料理に使うようにして、水にこだわっています。また、うちは、蕎麦の実を石臼で挽く際にも蕎麦の風味を消さないように努力してます。

*ドイツでの蕎麦人気はどうですか? 現地の方々も食べにいらっしゃいます?

ドイツの日本食ブームは、ラーメンや焼き鳥がメインなんですが、そばはまだ認知されていないのが現状。ですが、とりあえず分からないけれど日本の伝統的な食事なんだ、ということで、来ていただける感じです。

現在は、お客様の8割がドイツ人で、平均来客数で言えば平日は120人ぐらい。週末だとその倍というところでしょうか。

人気メニューは温蕎麦で、ドイツでは鴨をよく食べるので、鴨南蛮が人気です。

*これからの目標は?

ドイツに来てお蕎麦を広めたいという気持ちを一心に八年、九年、やって来てはいるんですが、それが今のこのお客様の比率といいますか、ドイツ人が8割にはなってきてはいるのでまあその目標達成しつつも、今は母校を通じて後輩たちに興味を持つという観点も含めてもっと輪を広げていけたらなと思っています。次なるチャレンジは2号店オープンでしょうか。

佐々木さん、ありがとうございました!

今日は、ドイツ・デュッセルドルフの人気蕎麦屋、「蕎麦庵」の店長、佐々木環真希さんにお話を伺いました。

北海道からドイツへ・・・その勇気も素晴らしいですが、お客さんの8割がドイツ人というのもすごい!

なかなか手打ち蕎麦に出会えないというドイツで、「そば庵」は、日本国内のお店に負けない、美味しい手打ち蕎麦がいただけると、地方から足を運ぶ方も多いそうです。

海外就職の新しい形・・・目標の2号店にも、また後輩の方が採用されるんでしょうか? 高校で学んだ蕎麦打ちの技術、引き継がれていくようです。

インスタグラム sobaan_duesseldorf

北海幌加内高等学校