先月、(2/20に)伝えられた、古代エジプト王の墓、発見のニュース。こちらはツタンカーメン以来、100年ぶりのファラオの墓の発見として、世界から注目を集めていますが1月には、4000年前の医師の墓が見つかったり、幻の古代寺院の発掘、そして、クレオパトラの胸像ではないかと言われる像が発見されたりと、ここ数ヶ月で、エジプトでいくつもの新発見が報告されているんです。

世界中で多くの人たちを魅了する、エジプト考古学。

今日は、長年、古代エジプト研究のトップを勤めてこられた、世界的権威であり、いよいよ明日から開幕する展覧会、ラムセス大王展 ファラオたちの黄金のキュレーターを務めるザヒ・ハワス博士に、最新の研究や現在の発掘についてなど、お話を伺います。

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元エジプト考古最高評議会 事務総長であり、元・考古担当国務大臣も務めていたザヒ・ハワス博士。

ヒストリーチャンネルで番組が作られるほどの著名な考古学者として長年に渡ってエジプトの発掘調査に参加されていますが、今年は新年から次々と新しい発見が報告されているということで、現在の状況を伺ったところ、皆さんはこの発見が今、見つかったばかりだと思っていらっしゃるようですが、実際にはエジプトでは常に発見がある状態で、私もピラミッド建設者たちの墓や黄金のミイラ、サッカラの階段ピラミッドなどを発掘したように、我々は常に発見を続けています。

というのも、私の考えでは、エジプトではこれまでに発見された遺跡は全体の30%に過ぎず、残りの70%はまだ地下に眠っていると信じているからです。エジプトの砂は常に多くの秘密を明らかにしてくれるのです。ということ。

では、最近の発見の中でもザヒ博士が特に注目しているものとは?

最近の一番大きな発見といえば、ルクソールの失われた黄金都市の発見でしょうか。ツタンカーメンの黄金のマスク以来の重要な発見だと思います。ですが、個人的には、ネフェルティティ女王の墓の発掘を期待しています。

ネフェルティティは、エジプトの歴史上、重要な女王とされ、第18王朝のファラオ、アメンホテプの妃で、6人の娘をもうけた人物。その胸像は、世界一美しい胸像と言われ、現在、ベルリンの国立博物館が所蔵しているんですが、エジプトへの返還を要請しています。

ツタンカーメンの義理の母に当たるネフェルティティの墓の発掘、これが、ザヒ・ハワス博士の長年の夢なんだそうです。

そして、今年はエジプト考古学にとって重要な年!

エジプト政府20年越しのプロジェクト、大エジプト博物館(GEM)がオープン予定ということで、こちらについても伺いました。

まずは、この博物館が建設されたこと、そして皆さんに紹介できることを誇りに思っています。

日本からもおよそ10億ドルの支援を頂き、完成したこの博物館ですが、この博物館は非常に独創的で、21世紀において最も重要な文化プロジェクトの一つとも言えるでしょう。

現在、一部を公開しており、83トンの大きさを誇るラムセス2世の像が訪れる人々を迎えます。その展示は圧巻ですよ。

さらに、この夏にオープン予定のツタンカーメンのギャラリーでは、特別な部屋に黄金のマスクが展示され、世界中の人々の心を魅了するでしょう。たくさんの来場者が見込まれますから、急いでエジプトへの旅行を計画して、チケットを予約することをおすすめしますよ。

とのことでした。そして、大エジプト博物館(GEM)のオープン前に、日本で、エジプト考古学を堪能できるのが、今回の展覧会「ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」。史上最大級ということですが、こちらについても伺いました。

今回の展覧会では、100点以上の展示品があり、最も重要なのは黄金です。

エジプトでは黄金が豊富だったことから、例えばイクナートン(アクエンアテン)の父であるアメンホテプ3世からの手紙には「エジプトには金が塵のようにある」と記されていました。この展示では、ツタンカーメン王の黄金のマスクよりも美しい工芸品が見られます。これらの工芸品は、ナイル・デルタ地帯にある遺跡から発掘されたもので、21王朝および22王朝の王たちの遺品が完全な状態で見つかりました。

展示の第一部では、ラムセス大王自身について紹介されています。ラムセスは王としての姿だけでなく、家族を大切にした人物としても知られています。彼が結婚した最も重要な王妃はネフェルタリ王妃でした。また、彼には100人以上の子供がいたとも言われています。彼は戦士であり、平和を築いた王でもあり、各地に壮大な神殿を建設した偉大な建築家でもありました。

さらに、今回の展覧会で見られるのが、動物のミイラです。この展示では、古代エジプト人がどれほど動物を大切にし、死後の世界でも彼らと共にいられるようにと願ったのかがわかります。

動物たちは王たちと一緒に埋葬され、来世でも彼らを支え続けると考えられていたんです。

エジプト史上、最も偉大なる王と言われたラムセス大王。では、今回の展覧会を通じて、私たちはどんなことを学ぶことができるのでしょうか?

考えてみてください。これはエジプトの歴史ですが、それは、日本や世界の、人類の歴史ということです。そして、世界中の人々が、過去から学ぶ必要があります。過去から学ばなければ、良い未来を築くことはできません。ファラオたちは常に「マアト(Maat)」に基づいて国を統治していました。マアトとは「正義」と「真実」を意味します。そして、もう一つ重要なことは、彼らが死後の世界を強く信じていたことです。

地球の、人類の歴史を知ることになるというエジプト考古学。これからもどんどん、発表できることがある、とおっしゃっていました。

ザヒ・ハワス博士、ありがとうございました!

ザヒ・ハワス博士は、エジプト考古最高評議会 事務総長であり、 エジプト政府の考古大臣を務めた経歴もある、世界的な権威。

伝説の考古学者として、エジプトのインディー・ジョーンズとも言われ、ヒストリーチャンネルでもシリーズを持つほど。

そんな、ザヒ・ハワス博士がキュレーターを務めるこの展覧会は、アジア初、史上最大級のエジプト政府公認の巡回展。黄金のマスクや数々の調度品の中には、初めてエジプト国外に持ち出されるものもあるそうで、また、没入型のVR体験では、リアルに古代エジプトの世界を楽しむこともできるようです。

こちら、明日3月8日から9月7日まで、豊洲の「ラムセスミュージアム at CREVIA BASE Tokyo」で開催となりますので、実際に足を運んでみてはいかがでしょうか?