桜もピークをすぎ、花吹雪が舞う時期となりましたが、春到来とともに、様々な「香り」に触れる機会、多くなっていきますよね。皆さんの周りには、今、どんな香りが漂っていますか?

今日はそんな「香り」にフォーカス。仕事の場では、集中力をアップする香り、自宅ではリラックスできる香り、など、テクノロジーを使って、新しい香りのライフスタイルを提案するという株式会社コードミー 代表取締役CEOの太田賢司さんにお話を伺います。

「香り」といえば、物語に出てきたり、記憶にも直結する感覚として非常に本能的なものだと思いますが、太田さんが手がけるのは、「香りのデジタル化」!これはどういうものなのでしょうか?

これまで香りの開発は一部のスペシャリストの感性や経験値に基づくものあったところ、テクノロジーを使って、データに基づいて最適な香りを作り出すアプローチ。個人や企業に向けて、目的やデータに基づいて、最適化された香りを提供するという事業となります。

*コードミーが手がけるのが、オフィスや商業施設など、さまざまな場所の「香りのプロデュース」。これはどう言ったものなのでしょうか?

最近、一般企業のオフィスの中で香りで空間を演出して欲しいと依頼がすごく増えています。現在、健康経営というものが着目されていることから、仕事をする環境をより心地よいものにしようという企業や、パフォーマンスアップのための香りの演出などがあります。

*では、医療関連(病院)などでも?

これからまさに「香り」の力でウェルビーイングな人類の世界をつくっていこうというビジョンを持っていまして、まずその一つが医療施設、病院での取り組みになります。実際に江戸川区にある江戸川病院との共同研究では、抗がん剤治療を受けられる患者さんが放射線治療を受ける前の待合スペースで緊張を緩和できる環境ができないかとの依頼で、香りをプロデュースしました。213名の方にご協力いただいたところ、96%の患者の方からポジティブなフィードバックをいただけたという結果も得られています。

*他にも教育現場などでも可能性、あるのでしょうか?

実際に、小さなお子さんがより心を落ち着かせて学習に取り組める環境や集中力が高まる環境を香りの演出でどうにかならないかとのお問い合わせが最近また増えてきていますので、我々のその研究結果ももちろん教育現場にどんどん活かして行くっていうことをこれから考えております

*また、コードミーでは、Jリーグの横浜FCともプロジェクトを行っていらっしゃいましたよね?こちらは?

スポーツクラブとサポーターの絆をより深めることを目的にチームフレグランスを開発しました。観戦の際にタオルを振り回しながら応援する時にタオルにシュッとして同じ香りに包まれながら連帯感を高めて、選手も同じ香りを試合前に感じながら試合に臨むという・・・弊社では、テキスト情報をAIで解析して香りを調香するという特許を持っていることから、横浜FCのSNSをAIで解析して、このチームの歴史とビジョンを香りで体現するということを行っています。

太田さんは、大学院卒業後からずっとフレグランスや香りの開発をされているそうですが、香りの持つ可能性をどんなところに感じていらっしゃいますか?

今まで香り、フレグランスというと嗜好品に見られがちで、あったらすごく素敵だけど、まあなくても困らないよね、というものだった。それを我々が技術開発をして、医療施設などと連携することで、なくてはならないものにしていきたい、人のコンディションを最大化させる可能性がこれからどんどん広がっていくと思っています。

太田さん、今後も新たなプロジェクトなどありましたらぜひ、またお話、伺わせてください。

香りのデジタル化・・・「デジタル・セント・テクノロジー」と呼ばれるそうですが、記憶や本能に直結する五感だからこそ、その機能に着目する時代がやってきそうです。嗜好品ではなく、必需品としてのニーズが高まることになるのかも。