ロシアのウクライナ侵攻が始まったのは、2022224日のこと。明日で2年になろうとしていますがウクライナ東部、ロシア国境から程近い街のハルキウで戦火にさらされた、一人の少女が綴った日記が現代版の「アンネの日記」と評され、話題となっています。世界各国で翻訳版が出版され、昨年11月には、イギリスの権威ある児童文学賞「カーネギー賞」にもノミネートされたという本「ある日、戦争がはじまった」今日は、この著者である、イエバ・スカリエツカさんにインタビューした模様をお届けします。

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まずは、イエバさんの14歳の誕生日が控えていたということで、お祝いのメッセージからスタートしたインタビューなんですが、ウクライナのハルキウから避難して、ドニプロ~ハンガリ/ブタペスト~アイルランドと旅を続けたイエバさん、現在は、ダブリンにお住まいで、今年の誕生日は、友達と映画に行って、その後、出版エージェントの方とお祝いする予定だそう。

振り返れば、2年前の誕生日は、ハルキウでボーリングをしたりと楽しく過ごしていた、というイエバさん、その12日後に紛争が始まり、最初は爆音のようなものが聞こえても、何が起きているか、わからなかったと言います。

学校で友達と楽しく遊び、ピアノのレッスンに通い・・・楽しい生活を送る「普通の子供だった」と当時を振り返るイエヴァさんですが、そんな平和な日々から一転。地下シェルターでの避難生活、そして70日に及ぶ安息の地を求めての旅へと続きます。

思い出の品も友達も学校も・・・寂しくても生きるために、全てを置いてくるしかなかった、と当時を振り返るイエバさん。それでも、旅で出会った心優しい人々や現在の安全な生活を得られて、本当に自分は幸運だったと話してくれました。

およそ70日の旅の様子を、SNSのやり取りや写真などと共に綴ったイエバさんの本ですが、そのもととなった日記をつけるようになったきっかけについて、伺いました。

実は以前は日記はつけたことがなかったというイエバさんですが、戦争が始まった時に、「この状況を記録しなければ」と思い、避難シェルターから自宅に物を取りに戻った際に一冊のノートを持ち出し、そこに全てを綴っていったそう。

「この日記をつけることで、心のバランスをとっていた、日記が心のよりどころだった」ということでした。

そんなイエバさんの大切な日記が出版されることになったのは、イギリスの公共テレビ放送、チャンネル4の取材を受けたことから。避難の旅の途中で、テレビクルーと出会い、仲良くなったことがアイルランドへ渡るきっかけとなり、ダブリンで、日記を本にしたいとの提案を受けることになりました。

そうして生まれたイエバさんの本、原題は「You Don't know Wat War Is(あなたは本当の戦争がどんなものか知らない)というもの。私たち読者の胸に刺さる言葉ですが、このタイトルにはどんな思いを込められたのでしょうか?

このタイトルは、エージェントの方のアイデアだったそうですが、イエバさんの気持ちにしっくりきたことから採用されたそう。戦争は本当に経験した者にしかわからない、自分でも、その状況になるまで理解していなかったし、家も国も、全てをおいていくこと、全てを失うことなんて考えてもいなかった。でも、この日々で、一番大切なものは命だって気づいた。同級生の子達もそれぞれ違う日々を送っているけれど、同じ痛みを経験している。だからこそ、私の話をシェアしたいと思った。私の願いは、私たちの世代が平和に暮らせるようになること。

そんなメッセージを世界に届けたかった、ということでした。もともと英語は得意だったというイエバさんですが、流暢な英語でインタビューに答えてくれた彼女。将来の夢は何なんでしょうか?

まずは、ウクライナの戦争が終結し、再興されることを夢見ているというイエバさん。さらに、自身は、国際弁護士になって、民法の専門家を目指して、ウクライナや他の人たちを助ける活動を行いたいということでした。オックスフォード大学にも進学したい・・・としっかりと目標を持たれているようです。

日本の子供達に、みんなそれぞれの子供時代を存分に楽しんでほしい、さらに、夢を持って、それが叶いますように。日本に行く日を楽しみにしている、といただきました。イエバさんの本「ある日、戦争がはじまった」は、小学館クリエイティブから発売中です。