アジア・アフリカの発展途上国から来日した生徒に有機農業や畜産業そして農村の指導者になるためのリーダー論などを教えるアジア学院。設立から50年というその歩み、そしてそこから見えてくる世界の現実について校長先生の荒川朋子さんにお話を伺いました。

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●まずはどんな学校なのでしょうか?

栃木県の北部の那須塩原市にある学生数、30名ほどの小さな学校ながら、森林を含む6ヘクタールの土地に、学生とボランティアと 職員の多くが一緒に生活しているというキャンパス。ここにいわゆる発展途上国という国々の中でも多くの問題を抱える農村地域で働く方々が生徒として来ています。年齢は25歳から45歳ぐらい、農村地域の人々の生活を良くするために働く様々な団体から派遣されてきています。研修期間は毎年4月から12月までの九ヶ月間。研修内容はリーダーシップ論、持続可能な農業、コミュニティの形成という三つの柱をもとにカリキュラムが組み立てられています。

●1970年代というと有機農法はかなり珍しい取り組みだったのでは?

まだ日本でも有機農法がだんだんと知られていく時代で、パイオニアだと思います。ですが日本各地に点在していた先駆者たちとネットワークを繋いで築いていった形です。

技術などを交換し合いながらお互いに成長してきたという経緯があります。

当時は、特に発展途上国では、環境が過酷な中で多量な化学肥料や農薬などを、あまり教育の行き届かない中で間違った方法で投入してしまう人たちもいて、環境破壊や健康被害にもつながるということが起きていたことから、非常に求められる技術であったといえると思います。

●どういう国や地域から生徒さんたちはいらっしゃっているんでしょう?

アジア・アフリカが主ですが、世界の最貧国と言われるような国々が多いですね。南米、カリブ海の地域や太平洋外からも来ています。今年は14カ国から27名が来ています。

●アジア学院50年の歩みの中で、世界はどう変わっていったと感じられていますか?

こう外見ではスマホやPCなども持ってきて身のこなしも非常にきちんとしていて外見からはあまり感じないんですが、やはりこう社会システムは特に農村レベルでは依然として整備が進んでいないむしろ一部の人たちがこう利益を独占するような傾向がより強く見られるような気がします。ですから対立や争いが悪化・激化しているように、暴力が頻繁に起こり、人が非常に傷ついているように感じます。今年はミャンマー、カメルーン、ナイジェリア、ハイチなど社会的混乱が著しい国の学生が多いんですが、そういった人たちは、生活再建はもちろん、トラウマを受けた方々のカウンセリングなど、精神的な回復にも従事しなければならないなど、コミュニティリーダーとしてやるべき仕事がすごく多様化している感じがします。求められているものがより複雑に高度化してる感じです。

●創立50周年ではどんな企画を?

私たちが究極的に目指してるのは世界平和なんですが、今その必要性を今まで以上に感じています。そのことをより多くの皆さんに知っていただくために研修プログラムをもっと見やすくして、参加型にして多くの人が関わって来やすいような形で提示することをやっております。キャンパスに気軽に来ていただいて、ここで起きていることを知っていただくためにこのキャンパス内にいろいろな教育的な看板を設置したり、持続可能な生活のあり方に農業のあり方そして私たちが提唱するサーバントリーダーシップについて知ってもらえるよう多くの見学やインターンシップなども受け入れています。

ここは一歩踏み入れただけで世界の縮図が見える場所、ここで世界の多様性を感じ取ることができますで、一緒にご飯を食べたり一緒に働いたりしていただいて、ただの見学ではなく生活を共にする、分かち合うという体験は非常に貴重なことではないかと思っています。

●アジア学院のビジョンとは?

ぐいぐい引っ張るようなリーダーシップではなく、逆に人々に仕えて人々の成長を促すようなリーダーシップで村づくり組織づくり地域づくりをやっていこうというリーダーシップ論(サーバントリーダーシップ)に基づき、命の尊厳への敬意と生物多様性に富む環境と分かち合いの精神を大事にして平和を築くことを実践できる献身的なリーダーをもっともっと育てて世界に必要とされる地域に送り続けたいと願っています。

詳しくは、アジア学院公式HPをチェックしてみてください。