ロサンゼルス現地時間2月5日に開催されました第65回グラミー賞。今回、作曲家・編曲家・音楽プロデューサー・マルチインストラメンタリストの宅見将典さんのアルバム「Sakura」がグラミー賞の「最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞」を受賞しました。

JK:受賞者の名前が書かれた紙が入っている封筒、そしてティファニーのブルーの袋に入ったノミニーメダルと共にいらして頂きました。おめでとうございます!

MT:グラミー賞への第一歩となった2011年第53回グラミー賞に行った際、帰りの飛行機がカビラさんと一緒で荷物台で挨拶させて頂きました。あの時に始まったグラミー賞への旅路、干支が一回りしてやっと受賞できました。2011年受賞時はSly & Robbieのアルバム「One Pop Reggae」の参加ミュージシャンとしてでしたが、その経験があって自分の名前でグラミー賞を目指したいと強く思いました。
JK:そこが入り口でグラミー賞への扉をノックし始めたということですが、去年までは違うジャンルにエントリーしていたそうですね。
MT:私の名前でのエントリーは今回で5回目でした。基本的には歌のないインストゥルメンタルミュージックで挑戦していて、現在91部門ある中からエントリーする部門を選ぶのですが、前回までの「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」から今回は「グローバル・ミュージック・アルバム」から移してみました。「コンテンポラリー~」は部門全体として近年ジャズっぽい感じがしてきて、ちょっと違うなと思っていました。
JK: 宅見さんはAAAやDA PUMPの楽曲提供でレコード大賞の優秀作品賞も受賞してます。レコード大賞とグラミー賞、全く違う世界ですよね。
MT: 両賞とも受賞した際には同じように泣き叫びました。レコード大賞の受賞は日本人として大変名誉なことで、一方、グラミー賞はアメリカの音楽業界に受け入れて貰えた喜びを噛み締めました。グラミー賞を受賞するまでに12年頑張ってきたという自負があるのですが、周りからは「早すぎるんじゃない」とか「もっと後で取るものだよ」と言われました。音楽ありきではあるのですが、色々な不思議な幸運にも恵まれたことに感謝しています。
JK:今回アルバムタイトルが「Sakura」で、ジャパネスクな曲タイトルも並んでいます。御自身のルーツを意識されましたか。
MT:タイトルは日本語にしたいと考えました。アメリカでの認知度もリサーチした上で、「Sakura」というタイトルが良いのではないかと決めました。

JK:受賞された時の、壇上の写真と動画を拝見しました。あの時の気持ちよさはどうでしたか。
MT:あの場でノミニーとして名前を呼ばれるだけでも満足で、受賞するのは夢のまた夢だと思っていました。実際に受賞者として名前を呼ばれて、抱き合って、ステージに上っていった時の景色は、水の中にいるような、ボヤけた景色を見ているような、スローモーションで記憶しています。受賞スピーチは40秒と決められていたのですが、ステージに上がる時エンジニアに抱きつかれて時間をロスしてしまい、スピーチで感謝を述べきれず途中でカットされてしまったのは残念でした。(笑)
JK:それから祝福の嵐、大変だったんじゃないですか。
MT:JAPAN HOUSE LAというところでパーティーをしてお祝いしました。翌日だったので落ち着いた、よりリラックスした状況で「Sakura」の楽曲を演奏して皆さんに楽しんで頂きました。
JK:若い皆さんの道標となりたいと仰っているのを聞きました。年齢を問わず、海外で自分の才能を活かしたいという方々に対してどのようなマインドセットやアプローチが必要だと考えますか。
MT:日本人が中々グラミー賞を目指せないという中で、自分自身が架け橋になったり、プラットフォームを作る手助けをしたいです。大事なのはまず言語だと思います。マインドとしては、皆さん最初に灯した火は大きいのですが、大体消えていってしまうことが多いですよね。自分もそうでしたが、その火が消えそうな時にどのようにその火を消さずに守ってあげるか、メンタルトレーニング、簡単にいうと諦めない、ということが大事です。どんなことも失敗と思わずに、今やっていることが礎になって次に繋がっている、"Connecting the dots"というように、全てのことがそれぞれドットであり、それをパワーにすることが大事だと思います。
JK:グラミー賞受賞アルバム、宅見将典さんの「Sakura」是非お聴きください。今後ライブの御予定も是非チェックしてください。改めましておめでとうございました!
Masa Takumi(宅見将典)