今週発表になった今年1月~6月における国内スタートアップ資金調達ランキング。その2位にランクインしたのが、新世代バイオ素材開発を手がける企業、「Spiber」でした。
山形県鶴岡市に本社を置き、微生物発酵で作られる革新的なタンパク質素材「Brewed Protein」の量産化に成功したというこの会社。数少ない日本のユニコーン企業です。
このブリュードプロテイン、洋服や化粧品、食品にも使うことができる新素材なんですが、これが、人にも、動物にも、はたまた地球環境にも優しい、すごい素材なんだそうです。今朝は、このブリュードプロテイン素材について創業者であり、取締役兼代表執行役の関山和秀さんにお話を伺いました。

素材革命を起こすと言われているこのブリュードプロテイン素材。スパイバーでは、微生物に植物由来の糖を与え、発酵させることで生物の重要な構成成分であるタンパク質を、人工的に、効率よく作り出すことに成功。この人工タンパク質素材「ブリュードプロテイン」は、様々な素材を設計することが可能で、かつ、資源として再利用もできるという、サーキュラーエコノミーが叫ばれる現代にぴったりな「素材」というものなんですね。では、具体的に、このブリュードプロテイン素材でできる一番シンプルな形はどんなものなのでしょうか。やはり、「アパレル」や「繊維」ということになるのでしょうか?

例えばカシミヤ、風呂桶一杯分の培養液で1時間で1枚セーターができるぐらいの効率。エネルギー、水などの必要資源、動物福祉の面などでもかなりの利点があり、自然の中で循環できる素材です。。
毛皮などの質感も再現可能に。反対に天然で出せないレベルのものまで。
現在は、ノースフェイス、サカイ、パンガイヤ、ユウマ・ナカザトさんなど一部のブランドに提供しています。
製造は、タンパク質は国内でしており、タイに工場ができて、生産し始めたところです。来年にはアメリカも稼働できそうです。
表記に関しては、これまでは「分類外繊維」だったものが、昨年ISOに「タンパク質繊維」という分類が認められ、今後JISでの認定を待っています。
Spiberの目標は、「Contribute to sustainable human well-being 人類の持続可能なウェルビーイングに貢献しよう!」をパーパスとしているので、一人一人が尊重され大切にされ、幸せを感じて生きていける社会を実現しようとしています。このタンパク質もその一つの手段。常に貢献できるよう考えています。
秋にはゴールドウィンやその他の有名ブランドから製品が出る予定です。今後は、純毛製品だけでなく、化学繊維のような風合いの、よりケアが手軽な製品まで、様々な商品が登場する予定です。