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今日は、インドネシアの食べられる海藻パッケージ素材「Biopac(バイオパック)」をピックアップします。プラスチックの廃棄物汚染は未だに世界中の問題であり、その中でもインドネシアの状況は深刻で、90%のプラスチックが海に流れ出ていると言われています。そんなプラスチックの廃棄物汚染問題の解決策として、海藻で出来た「食べられる」パッケージ素材、「バイオパック」が開発されました。この「バイオパック」、見た目は半透明でカラフルで、商品をラッピングできる物や、小分け袋の形の物もあります。ドーナツの小分け袋や、ファストフード店でのフライドポテトの入れ物として使うことができます。また、コーヒーやラーメンのスープのパッケージとして利用すれば、熱いお湯をかけてパッケージごと溶かし、そのまま飲んだり食べたりすることも可能です。今朝は、Biopac創業者Noryawati Mulyono(ノーリヤーワーティ・ムリョーノ)さんにこのパッケージについて、そして開発のいきさつなど、詳しく伺いました。

JK バイオパックを開発されたきっかけを教えて下さい。

NM ジャカルタで大きな洪水を経験したことが1つのきっかけでした。水害はかなり重大な問題をはらんでいて、甚大な経済的損失も引き起こします。そもそもの洪水が起こる理由ですが、単純に降雨量が大きいということだけではありません。実は、私たちの日々出しているゴミが水の通り道を塞いでいることに気づきました。ゴミが生分解されずに自然界に残ってしまうという問題です。2009年、学者としてのキャリアを始めた際、バイオプラスチックという素材に着目しました。そんな中、2010年「ロレアルユネスコ女性科学賞」を私の研究で受賞することができました。ただしその道のりは非常に難しく厳しいものでした。日本でも沖縄などで同じような問題を抱えていますよね。バイオプラスチックの素材、色々な企業からも着目されているということで非常に期待しています。

JK バイオパックの原材料はどのような物でしょうか。

NM 海藻です。人間が食することもできる繊維とかミネラル分を多く含んでいます。またこれはハラル食ともなり、イスラム回教徒の方々が食することができます。さらに、発がん性が非常に低く、「バイオ・スティミュラント」環境や植物への悪影響を減らす素材でもあります。例えば海の中にうち捨てられたとしても溶けていきます。尚且つ印刷することも可能で、燃焼することも可能。熱分解も出来、お湯の中で1分で溶けます。

JK 海藻をパッケージに利用しようと考えた発想についても教えて下さい。

NM 1つ目のポイントは社会的な課題です。とても残念なことに海藻農家の方々の多くが人身売買の被害にあっています。素材とか資源ではなく、人的な問題に海藻農家の皆さんが直面していると言うことに気づき、それを変えたいと思いました。2つ目のポイントは技術的なことです。小麦粉のグルテンに次ぐバイオプラスチックの素材として、海藻が優れているという事実に着目しました。私たちインドネシア海洋国家ですから、かなりの量の海藻を収穫できる環境があるというところも重要なポイントでした。

JK 海藻農家の皆さんが人身売買の被害にあってたとは知りませんでした。

NM 海藻農家の皆さんが人身売買の被害者になっていると言うことは2012年報道で知りました。そこで社会貢献できるようなコンクールがあり、海藻を使ったバイオプラスチックで社会的な課題を解決することに取り組みました。私の全知力と全体力をここに捧げてプロジェクトを展開しています。

JK 将来的にはどのようなことを考えていますか。どのようなペースで進めていますか。

NM 2017年に実際の商品化に取り掛かり、2020年3月に初めてバイオパックの商品を世に出しました。今後生産量を上げて、日本のマーケットにもこれをお届けできるような状況にしたいと考えています。同時に、もっと市場で競争できる戦略的な価格体系を今ちょうど展開しています。

JK 日本には具体的にいつ頃届く予定ですか。

NM 希望としては2020年の年末までには日本でお披露目できればと思っています。是非日本の皆さんにもディストリビューターになって頂きたいと考えています。生産のポテンシャルを上げ、求められる国々すべて供給できるレベルにしていきたいです。

JK SDGsの取組の一環としてもピッタリですね。日本の製造業の方々、要チェックです!

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