今朝は、水素エネルギーを利用する世界初の 「水素ホテル」、川崎キングスカイフロント東急REIホテルの取り組みをピックアップします。
スコットランド・グラスゴーで国連気候変動枠組み条約第２６回締約国会議、ＣＯＰ２６が今日閉幕します。岸田首相による演説が気候変動対策に後ろ向きとして、不名誉な「化石賞」を受賞したこともニュースになりました。このように、世界中の環境対策にはまだまだ課題が多くあると言われています。そんな中、再生可能エネルギー利用100％を実現している世界初の水素ホテル、日本の環境対策における希望を灯火となるのでしょうか。どのような仕組みなのか、今朝は川崎キングスカイフロント東急REIホテルの服部未来んにお話伺いました。
JK :「世界初」の水素ホテルと言うことですが、どのようなポイントが「世界初」ですか。
MH :1つ目は、当ホテルで使用している水素が使用済みのプラスチックから出来ている点です。2つ目は、その出来た水素を直接ホテルまでパイプラインで供給してるという点です。この2点が合わさって「世界初」の水素ホテルと言われています。
JK :水素をどのように調達し、それをどのように電気に換えてホテルで使われているのですか。
MH :川崎市内で集められた家庭用のプラスチックゴミを昭和電工株式会社の水素製造設備に運び、独自のケミカルリサイクルと言う特殊工程により水素が作られております。作られた水素は地下のパイプラインを通じて工場からホテルまでの約5キロ送られます。ホテルには東芝のH2デックスと言う燃料電池があり、こちらで空気中の酸素と送られてきた水素を化学反応させ電気の熱エネルギーに変換します。トラックで輸送せずパイプラインを利用しているので二酸化炭素が発生せず、また、昭和電工で水素をつくり出す際に発生した二酸化炭素は外に排出せずにドライアイスや炭酸飲料の炭酸に2次活用しています。このような最先端の取り組みを当ホテルで行っております。
JK :ホテルで使われている電力の30%が水素エネルギーで賄われているとのことですが、後の70%はどうなっていますか。
MH :ホテルから出る食品廃棄物を再生可能エネルギーに変えるバイオフードリサイクルと言うものを当ホテルで導入しています。廃棄物を微生物によってメタン発酵させ、それによって発生したバイオガスでガスエンジンを動かし発電しています。こちらの電気を購入し、足りない分はは再生可能エネルギーを購入することで70%を補っています。このように、地域循環型エネルギーの仕組みを確立しています。
JK : ホテルのロビーでレタス栽培が行われているということですが、これはどういうことですか。
MH :環境省の実証事業の一環としてホテルの中でリーフレタスを育てております。使用済みプラスチックからできた水素由来の電力を利用しています。室内は水耕栽培で、温度は22度から26度位、湿度は60%から80%に保たれています。高速成長を施すためにLED照明を朝の10時から14時は青色、それ以外は赤色で照射しています。通常、収穫まで45日かかるところを約30日で収穫が可能となっています。毎週金曜日、約40株ほど収穫ができており、今は土曜日朝の朝食のビュッフェでスープで提供しています。
JK :ホテルのアメニティー提供方法やタオル交換の頻度を減らすなど、グリーンな取り組みはありますか。
MH :東急ホテルズ全体としての取り組みになりますが、アメニティーを使用されなかった際に客室に備え付けのコインをフロントにお持ちいただくと環境保全の活動貯金にさせて頂いてます。具体的には、1つ目が「子供の森計画」としてアジア太平洋地域を中心に木を植えて育てる活動を通じて自然を愛する心を学んでもらう教育費としての活用。2つ目が「グリーンコインの森」として山梨県の丹波山村にて森作りを行なっています。これは、東京の水源地を守ることを目的とし、地元の方々と一緒に当ホテルの従業員もボランティアとして活動を行なっています。
JK :ホテルとして今後の展望どんなことを考えてますか
MH :水素の取り組みは実証事業として一旦3月で終了予定ですが、その後はホテル独自でこの取り組みを続けて行くことを社内で検討しています。もう1つは学生の環境教育を促す場としてSDGs修学旅行の提案を考えています。プラスチック問題の取り組みや森作りについてホテルで学んで頂きたいと思います。
JK : 再生可能エネルギー利用100%そのうち30%は地域循環型エネルギーの仕組みを利用、不足分は再生可能な電力を購入することで達成。これが数多ある東急系のホテルで普及されるといいですね。
MH :「勿体ない」がつきもののホテルですが、「泊まるだけでエコ」言うホテルになって行けたらなと思っています。そういう観点で業界の発展に寄与していければなと思っております。