2019年、オスロでは歩行者と自転車に乗る人の交通死亡事故ゼロを達成しましたが、このために行なったのが車の数の大幅な削減です。
勿論その方が交通は安全ですし、環境への負荷も減ります。一方、コロナ禍でマイカー需要が高まっていたり、その地域でお住まいだったりビジネスをされている方にとっては車が必要だったりします。
「車が走らない都市づくり」、世界の他の都市にも適用できるのでしょうか。今朝は、よりサステイナブルな交通機関の実装に取り組む都市を支援するNUMO(New Urban Mobility Alliance)のカルロス・パルド(Carlos Pardo)さんにお話し伺いました。
JK: 車が走らない都市づくりのメリットを改めて教えて下さい。
CP :オスロの例は非常に良い例だと思います。強調したいのは、交通における優先順位を「人に戻す」ということです。基準は人間にあるべきで、人々の移動手段を向上させるためには自動車ではなく人に焦点を当てることが大事だと思います。都市の生活では車ではなく、その中にいる人が動きます。そう考えると、公共交通機関の方が遥かに人に優しくて効率が良いですよね。そして人々がより歩き、より自転車を利用する街づくりが重要だと言うことがわかってきます。
JK: 車がなくなると色々なデメリットも出てきます。市の中心部に住んでる方も商業を営んでいる方もいます。その辺りはどうなっているのでしょうか。
CP :車での移動となりますと、排出ガスというネガティブな要素を無視できません。元々都市部ではスピードを出す必要もないと考えます。なので、都市のデザインもロー(低い)スピードな移動に合わせることが重要なのではないでしょうか。また、都市部には人口が密集していることも考えると、その人口が社会へ及ぼす影響も考える必要があります。コストバランスも考えつつ、公共交通機関の利用を推奨することが良策だと思っています。
JK: 現在のコロナ禍でソーシャルディスタンスを保ちたいということで公共交通機関を控えたい方も多いと思います。ソーシャルディスタンスを担保するということは実際どうなのでしょうか。
CP :コロナは本当に色々なことを変えました。確かに、公共交通機関を使っていた皆さんが車をまた乗り始めたと思います。ただ、交通機関を選ぶにあたり、色々な選択の余地はあります。考えて頂きたいのは御自身にとってのメリットと大局的に見た社会にとってのメリットです。車に乗ろうとする際、果たしてそれが最善の選択肢なのか、何が安全な移動手段なのか、多角的に、優先順位をつけて考えて頂きたいです。
JK: 例えば東京では実装可能でしょうか。車の入れないエリアを作るというような施策はどのような都市のどのような特性に適しているのでしょうか。
CP :オスロで起きていることの片鱗は既に東京でも起きていると思いますよ。東京の公共交通機関は非常に高度で発展していると理解しています。車の使用を減らすのは東京でも可能だと思いますし、自転車の利用を強く勧めたいです。
JK:皆さん、現在の交通システム、「クルマ中心」、「クルマファースト」で考えすぎてませんか。「人ファースト」であるべきではないでしょうか。特に東京は既に素晴らしく公共交通機関が発達しています。大局的に見て、そして将来のことも見据えつつ、使われる交通手段を選んでみては如何でしょうか。
