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「ニュー・ノーマル」が広まっているこのコロナ禍。感染症対策という観点からも、日常生活においてボタンやスイッチを触ることに抵抗を感じる方も多くなったのではないでしょうか。今朝は、実際に触れることなく操作できる非接触インターフェースをピックアップします。この非接触インターフェース、スイッチや操作パネルが映像で浮かび上がっているように見える状態のものなのですが、一体どのような仕組みになっているのでしょうか。開発されました村上開明堂の浜野正孝さんにお話し伺います。

JK:まずはこの仕組みを教えて下さい。「映像で浮かび上がっているように見える」「触れずに操作できる」とはどういう状態でしょうか?

MH: 弊社が開発したのは「温水便座リモコンの空中スイッチ」です。まず、装置に手をかざすと空中に操作パネルの映像が浮かび上がります。その浮遊するパネルのスイッチを指で触るように操作することで、直接装置に触れることなく操作が出来ます。システムは、映像を空中に表示させる特殊な光学プレート、液晶ディスプレイ、そして指の位置を検出するセンサーから成るシンプルなものです。液晶ディスプレイから出た光が特殊な光学プレートの中で2回反射してプレートの反対側の空間に表示され、センサーから出る赤外線が、指に反射し戻る時間で指の位置を認識する仕組みになっています。

JK:温水便座リモコン以外にはどのような場所、シチュエーションでこのインターフェースの使用が想定されますか?

MH:コロナ感染拡大の中、病院や介護施設、ホテルなどにモニター機を設置しており、特に公共の場では喜ばれています。不特定多数が触れるATMやエレベーターへの展開も検討中で、ATMや決済端末に適用されれば、指紋も残らず安全性が高くなります。指紋を盗難され悪用されることを防げます。料理中の濡れた手でも操作できるため、キッチン周りの機器、そして医療系(手術中の各種機器操作)分野でも可能性を感じています。

JK:「バックミラー」で国内シェアNo.1の村上開明堂ですが、何がきっかけでこのインターフェースの開発が始まったのでしょうか?

MH:車の室内においてもカーナビなど指紋や汚れが付いてほしくないパネルやスイッチがあり、2017年から本技術を応用したクルマ用のデモ機を展示会に出展してきました。しかし車の商品化は時間がかかりなかなか難しいこともあり、より身近な温水便座リモコンに舵を切りました。

JK:開発は現在どのような状況ですか?今後の展開を教えて下さい。

MH:現在はモニター設置の数を増やし、使い易いユ-ザ-インタ-フェイスの改良を進めています。ポイントは空中でいかに「浮遊感があって見易い映像を表示させるか」「操作したときの反応をよくするか」の2点です。今後、コロナが終息しても、触れたくないというニーズは必ず残るはずです。使い易さの改良を進め、人が触れて操作するすべてのスイッチを空中スイッチに置き換え、国内に限ら世界中に広めたいです。2022年度の量産化を目指して今精一杯努めています。東京でのモニター設置を進めていますので、是非御意見下さい。

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