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皆さん、お悩みはありますか?今朝は、現代人の悩みに答えてくれる仏教対話AI「ブッダボット」に注目します。仏教教典を現代語訳したものとQAリストをデータとしてAIに機械学習させ、質問や悩みを投げ掛けると仏教の観点から回答してくれます。「ブッダボット」を開発された京都大学こころの未來研究センター准教授 熊谷誠慈さんにお話伺います。

JK:仏教対話AI「ブッダボット」、どのような仕組みになっていますか。使い方も教えてください。

SK :「バート」というGoogle社提供のアルゴリズムを応用して、最も古い仏教教典の1つ「スッタニパータ」のテキストを人工知能に機械学習させて、ユーザーからの質問に回答できるような人工知能を開発しました。「ブッダボット」を搭載したパソコンに悩みを入力すると、人工知能が経典の中から回答を提示してくれます。

JK:「ブッダボット」を開発されたきっかけは何でしたか?

SK :近年仏教が衰退気味にあり、新しい取り組みをしなければという話が挙がりました。最近人工知能(AI)が色々な分野に進出していること、宗教にはまだ本格的に人工知能が入っていないことに着目し、仏教とAIで組んでみようと開発に着手しました。仏教は敷居が高い印象もあるので、間口を広げるという目的もあります。

JK:ジョン・カビラ、悩みも煩悩もすごいことになっていますので是非「ブッダボット」に悩みを相談したいと思います。

一つ目の相談です:「人からの見られ方と本当の自分が違います。どうすればいいのでしょうか?」

SK :「ブッダボット」からの回答:「自分を律して良い行いを行えば素晴らしい人間になれる」です。

JK:全くその通りです。でもこれが難しいですよね。住職でもいらっしゃいます熊谷先生、意志を強く自分を律するにはどうすればいいですか?

SK :このような内容が仏教教典に書かれているということは、人間は中々自分を律して良い行いをすることが難しいということの裏返しです。あまり気負わずに、出来るところでやっていくのがいいのではないでしょうか。

JK: 「出来るところからやってみる」というお言葉に救われました。実はもう一つお送りしています:「お肉とお酒がこよなく好きです。常に適量に摂取するべく、自制する術を教えてください。」

SK :「ブッダボット」からの回答:「アルコールを飲んではならない」です。

JK: 絶句です。

SK : 戒律なので仕方ありません。仏教徒でなければ大丈夫だと思います。

JK:お肉に関してはいかがでしょうか?以前日本ではお肉が御法度だった時代もありますので、これはひょっとしてお肉を食してはならないという可能性もありますか?

SK : 私たちが入力したテキストに対しては「肉を食べてはならない」という文言が出てきませんが、例えば仏教教典の種類によってはそのような回答が出てくると思います。

JK: 熊谷住職に伺います。お肉とかお酒とか、自分が心地よくなるところを追求してしまうこの煩悩はどうコントロール出来るのでしょうか?

SK : 煩悩を完全にゼロにしてしまうのはとても難しいと仏教でも言われていますので、まずは煩悩を持っていることに気づくことが大事です。気づいた時には煩悩が少しやわらぐと言われています。まず気づくということをされてみては如何でしょうか。

JK: 本当にありがとうございます。今後はどのような展開を考えていますか?

SK : 学術、産業、伝統文化に応用できると思います。学術的には古代の経典と現代の人々とを対話させることで、古い経典のどの部分が21世紀においても役に立つのかを定量的に検証することができるようになり、古代経典の意義を再解釈することに使えます。また、産業については、メンタルヘルスや、コンサルティング、教育産業などの分野に応用できると思います。宗教や伝統文化も新たなフォロワーを増やし、間口を広げることができるかもしれません。

JK:これは是非アプリも開発して頂いてスマートフォンでも使えるようにして頂きたいですが、その御予定はありますか?

SK : 現在アプリ開発中で、もう暫くするとスマートフォンでも御利用頂けます。ただ、当面は学術利用、モニター利用だけとします。今後も、京都大学、青蓮院門跡、Quantum Analyticsを中心にアプリ開発も進め、将来的にはモニター利用を募集する予定です。公式Twitterをこの番組に合わせて開設しましたので、そちらに最新情報を更新していきます。今日のカビラさんの質問と回答もTwitterに挙げさせて頂きますね。

JK: 同じ悩みの兄弟姉妹はいると思いますのでお願いします。今後も何かありましたら是非お知らせください。有難うございました。

京都大学プレスリリース

仏教対話AI『ブッダボット』開発チーム公式Twitter

●5月22日(土)開催「ムーンショット目標検討シンポジウム:極限状態におけるこころのあり方」(Zoomウェビナー)にて、ブッダボットを紹介されます。詳細はこちらを御覧下さい。→ http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/pns_sympo_20210522/