今朝は、紫外線を吸収して発電する、廃棄された農作物をアップサイクルした新素材「AuREUS(オーレウス)」に注目します。

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次世代のデザインエンジニア育成を目的としている「James Dyson Award」で「サステナビリティ賞」を受賞したこのAuREUS。その開発者、フィリピンはマプア大学のCarvey Ehren Maigue(カーヴィ・エーレン・マイーゲ)さんと繋がります。

JK:通常の太陽光発電との根本的な違い、そしてAuREUSを利用するメリットを教えてください。

CM:従来の太陽光発電では可視光線のみが使われ、UV(紫外線)が吸収されることはありませんでした。AuREUSは紫外線をエネルギーに換えられるのがこれまでのソーラーパネルとの違いです。また、紫外線は雲を通ります。従来の太陽光発電では曇りの日に発電はできませんでしたが、AuREUSを使うと発電できるのが利点です。

JK:従来のソーラーパネルはガラス等を使っていますが、AuREUSの素材は何を使っていますか?

CM:AuREUSは廃棄農作物や食品からバイオポリマーを抽出したものを使っていて、この素材を利用することで汎用性の幅が広がります。例えば家具や車にもこのAuREUSを利用し発電が可能になります。

JK:エネルギーの変換効率はどうでしょうか?従来のソーラーパネルですと、良くて20%ほどですよね。

CM:まだ初期段階ですが、ラボでは48%という高い数字を出しています。エネルギーを蓄積する特殊な構造を持っているため、効率を加速倍化出来るのがポイントです。この高い変換効率で利用の幅が広がると信じています。

JK: この素材を衣類に使うことも可能ですか?

CM:可能です。バイオポリマーを糸に組み込み、それで布を織ることによって発電が可能になります。例えば、皆さん日々沢山の電子機器を利用されていますよね。将来的にはそれらデバイスを自分の洋服で充電出来るようになります。

JK: つまり、例えばジーンズで外出して、紫外線を吸収し、そのジーンズが吸収した紫外線で携帯を充電、なんとことも可能になると言うことですか。

CM: その通りです。正にそのようなテクノロジーを今追求しているところです。ジーンズとスマホとの繋ぎ方が課題ですが、いずれはできると思います。例えば、オーレウスのアダプターにジーンズを繋ぐ技術があれば、アダプターをポケットに入れておくことで、ジーンズで蓄積した電力をスマホに移行できます。

JK: 夢のような状況!日本のメーカーとのタイアップ予定はありますか?

CM:もちろんです!様々な業界と提携したいと考えています。地球温暖化の影響で年々自然災害の被害が大きくなっています。フィリピンは台風が多いですが、同じく自然災害の多い日本でもAuREUSの技術を活用して貰えれば嬉しいです。例えば農業において、温室の外側にオーレウスの素材使い、強風の耐性もありながら同時にエネルギーを自給自足する状況を作ることが可能になります。農場でありながらソーラーファーム、そんな施設を作りたいです。

JK: オーレウスの今後の展開を期待しています。年内にプロトタイプをローンチを予定しています。次世代のエンジニア育成を目的とする「James Dyson Award 2021」、既に募集が始まっています。詳細は下記是非チェックして下さい。

https://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/