今朝は、ロボット同士のコミュニケーションを円滑にするロボット用ソフトウェア「ROS(Robot Operating System)」をピックアップします。
現在様々なロボットが我々の生活を支えてくれています。複数のロボットが同じ空間に存在するケースも増えていますが、メーカーが違うためにお互いコミュニケーションを図れずロボット同士ぶつかったり、うまく動けなかったりという事例が生じています。今後ロボットを使う多くの企業、そして私たちが抱えるであろうロボット同士のミスコミュニケーションのリスクを減らし、解決するのがロボット用のソフトウェアROSです。
このソフトウェアを開発した非営利団体「Open Robotics」のConsulting Software EngineerでいらっしゃるGeoffrey Biggsさんにお話し伺います。
JK :どういうニーズから作ろうと思ったのですか。
GB :メーカーが違うためにロボット同士が上手くコミュニケーションを図れずロボットの衝突することが多発しました。このような状況を改善すべく、ロボット同士のコミュニケーションを可能にするソフトウェアをオープンソースで作ることになりました。
JK :具体的には、メーカーの異なるロボット同士のコミュニケーションをどのように可能にしたのでしょうか。
GB :ソフトウェア同士の橋渡しをする「ブリッジングソフトウェア」というものを作りました。其々のロボットに其々のソフトウェアが搭載されているのですが、其々ソフトウェア内の言語が異なります。それらを、このブリッジングソフトウェアを使用することによって共通言語化を可能にしました。
JK :どのような事例がありますか。
GB :シンガポールのチャンギ病院内で使われている清掃ロボットや配膳ロボットの例があります。以前はエレベーターに乗る為にロボット同士が渋滞を起こしたり競い合って衝突していました。ROSを搭載させることでそれらの問題がなくなり、制御されるようになりました。
JK : 病院以外に適用の例はありますか。
GB :活用できる事例として、オフィスビルでの郵便配達ロボットやレストランでの注文ロボット、各種デリバリーロボットにも適用できます。
JK :日本での展開はどのように考えていますか。
GB :既に幾つかのクライアント、特に病院と話を進めています。シンガポールでの実例を聞きコンタクト下さる方もいます。近い将来、日本でも広まると期待しています。
JK :このソフトウェアはオープンソースで無料と聞きました。本当ですか。
GB :はい、完全に無料です。何方でもウェブサイトにアクセスしたら制限なく利用できます。会社としては、このソフトウェア利用者へのコンサルティングサービスを提供することで収益を上げています。
JK :将来の展望としてはどのように考えていらっしゃいますか?
GB :多くの方々にソフトウェアがダウンロードされ利用されているので、ニーズがあると手応えを感じています。より多くの方々に使って頂き、更に普及されると嬉しいです。今後も、少子高齢化でロボットの役割は増えてくると思います。例えば消毒用ロボットとか、様々なロボットに使われ人々の生活に更に役立つことを願います。