今朝は、日本初、民間企業の開発による月面データのビジネス活用を目指す宇宙ビジネスのスタートアップ企業ispace社にフォーカスします。

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先日、宇宙飛行士の野口聡一さんが民間企業の新型宇宙船で宇宙へ旅立ちました。ispace社もそうですが、宇宙事業に民間企業が次々と参加していて、宇宙がより身近なものになっています。

ispace社は2022-2023年にかけて月面着陸と月面探査をする「HAKUTO-R」プログラムを実施予定で、現在累計およそ135.5億円を調達済みです。このプログラムを基に、より正確な月面データを入手しビジネスに活用します。誰がどんな理由でそのデータを使い、どういう価値が見込めるのか。ispace社の宇宙事業と取り組みについて取締役&COO中村貴裕さんと繋がります。

JK: 月面着陸と月面探査を目指す「HAKUTO-R」プログラムですが、簡単に概要を教えて下さい。

TN: 史上初の民間企業による月面探査を目指しています。2022年に月面着陸、 翌年2023年には月面探査車も持っていき、月面探査を目指します。この2つのミッションを統合したものが「HAKUTO-R」プログラムです。

JK:月面データは具体的にどんなデータですか?

TN: 大きく分けて4つあります。

  1. 月面には数十億トンの氷が存在していると言われています。その氷が月面のどこに、どれくらい、どういう状態で存在しているのかを示すマッピングデータ。
  2. JAXANASA等の宇宙機関が将来実施する有人月面ミッションの為の、月の放射線量・温度状態等の環境データ。
  3. 今後、月面基地建設や、月面車両走行等のミッションが行われます。その為の硬さや角度等の地面データ。
  4. 月面ミッションはまだプレミアム感が高いので、メディア、VR系会社に提供するコンテンツ用の映像や動画データ。

JK:月面で人間が一定期間住み、何かを展開することは確実ですか?

TN:そう考えています。2040年には1,000人が滞在、年間数万人が月に旅行するビジョンを描いています。

JK:月面に人が住むようになって、その先は人類にとってどのような変化が考えられますか?

TN 旅行・観光は勿論、科学的な探究心からくる活動も期待できると思います。更には月の資源をロケット・人工衛星の燃料として活用し、地球以外に経済圏を広げることも考えれます。経済圏が広がることでGDPが今より増え、経済のエコシステムも広がります。

JK: 月面からロケットを打ち上げるということも考えられますか?

TN: はい、地球から直接火星より、月を経由して水素エネルギーを燃料補給する方が、輸送コストを1/10に抑えることができます。言ってみれば、月が水素エネルギーのガスステーション、輸送のハブになり得ます。

JK: 月の資源の国際的管理を考え、平和利用に向けて、コンセンサス作りも必要ですか?

TN 宇宙の資源は平和利用が大原則であり、月の資源の有効活用は非常に意義があると思います。つい先日日米を含めるアルテミス合意に8カ国が署名しました。平和利用が前提となっており、民間企業に所有権を認める内容になっています。

JK: 医療関係の新しいブレイクスルーも考えられますか?

TN:そうですね、月面環境は特殊なので、新薬創薬の分野に活かせるはずです。これから医療業界に対しても尽力していきたいと思います。

JK: 今後の進捗も楽しみにしています!