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今年もさまざまな話題を世界中に発信したアメリカのトランプ大統領。20年の大統領選で民主党候補指名獲得を目指すバイデン前副大統領が不正行為を働いたとする根拠のない主張を巡り、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に「調査」するよう不当に助けを求めたとの内部告発した、いわゆる「ウクライナ疑惑」を受けて弾劾訴追となりました。歴代でも17代ジョンソン大統領と42代クリントン大統領に次ぐ3人目。弾劾訴追とは議会での裁判によって大統領の不正などを裁き、有罪になれば大統領を辞めさせる、という裁定のことです。

今朝はニューヨークのジャーナリスト、津山恵子さんにお電話をつないでお話を伺いたいと思います。

JK:下院で弾劾訴追決議案が可決されましたが今後のスケジュールは?

津山: 1月になってから上院で弾劾裁判が始まります。最高裁判所の首席判事が裁判長となり、上院議員100人が陪審員になって、議会証言を聞きます。民主党は、ビル・クリントン元大統領が弾劾裁判を受けたのと同じ期間を要求していますが、共和党は短く簡単に済ませたい意向です。裁判の結果、トランプ大統領が有罪かどうかの採決をしますが、有罪には3分の2の賛成票が必要です。共和党議員が20人造反する計算になりますが、下院で共和党が一枚岩だったので、有罪が可決するのは不可能だとされています。弾劾裁判は毎日1~5時まで開かれるので、現在民主党から大統領選出馬表明をしているウォレン議員やサンダース議員らは、この間選挙運動がしにくくなります。

JK:弾劾訴追のきっかけのウクライナ疑惑は、訴追に至る過程でどのように報じられましたか

津山:下院での公聴会と、弾劾決議は、ほぼ1日中、テレビで生中継されました。下院で多数の民主党は、トランプ氏を弾劾に持ち込む証言を得るための質問や、共和党の妨害を避けるため、かなり準備したと報じられています。共和党ももちろん、いかに民主党に不利な証言を引き出せるかリハしており、議員やスタッフはこの間、週末も返上していたそうです。新聞やオンラインニュースでも連日、証言から得られた新しい事実などを解説していました。民主党は賛成多数で弾劾可決に持ち込みましたが、共和党は「歴史上、もっとも内容の薄い訴追内容」「嘘だ」「証拠がない」と批判を続けています。

JK: 政府高官が次々と疑惑を裏付ける証言をしましたが、それによるトランプ大統領の支持率などに変化はありますか

津山:トランプ大統領の支持率は40%で推移し、あまり変化はありません。共和党員の間の支持率は80%以上です。「トランプ氏を弾劾し罷免するべき」と答えている人は、公聴会が始まった頃の50%から最近は45%まで下がっている一方、「弾劾罷免するべきではない」という人は、45%から47%とわずかに上昇しています。

JK:共和党側の議員は結束力が高まったとされていますが、どのように報じられていますか

津山: 共和党の結束力とともに、トランプ支持者の結束や熱狂ぶりも上がっています。弾劾決議が下院で可決した日も、トランプ氏が集会を行ったミシガン州では、集会に参加するために6時間以上も並んだ人々がいました。また集会の内容も、弾劾はまるで人ごとのような感じでした。

JK:来年の大統領選挙に向けての展望はどのように感じていますか

津山: 2月になって予備選挙が始まり7、8月の党大会をへて、一騎打ちの本選挙となります。個人的には、現在、トランプ氏が選挙資金をもっとも集めており、広告を打つ資金がたくさんあるので、その点ではかなり有利だと思います。

JK:津山さん、ありがとうございました。

英会話に使える今日のフレーズ、phrase of the day

今日の単語は、divisiveness。

区分するという意味のdivisiveという単語の名詞形で、「(人々を分裂させるほどの)不和、あつれきや分断」という意味です。ニュースのキーワードとしてよく登場しますね。

例文をあげるとすると

How do we deal with divisiveness?

どうやって「分断」に向き合っていきましょうか。

となります。