20250822eye01.jpeg

今朝は、2017年から不定期にオープンしている料理店に注目します。その店名...、ユニークです。「注文をまちがえる料理店」。どんなお店なのか。発起人の小国士朗さんにお聞きしました。

「注文をまちがえる料理店」というのは、認知症の状態にある方々がホールスタッフを務めるレストラン型のイベントになります。で、認知症の状態の方がホールスタッフを務めて注文を取って配膳をするんですけれども、どうしても注文を間違えてしまったりとか忘れてしまったりとか、そういうことがあるんですけれども、このお店の名前自体が「注文をまちがえる料理店」という看板を掲げてやっているので、仮に間違いが起きたとしても、その間違いをお客様はみんな受け入れてむしろ笑ってしまおうというようなことで「間違えちゃったけどま、いっか。」というのをコンセプトにやっているレストラン型のイベントになります。

認知症の皆さんによる接客。それを理解したうえで来店するお客さん。「認知症でも社会で活躍できる」という当事者の皆さんの自信にも繋がり、お客さんである利用者に向けては、認知症の理解促進にもつながる。これまでに7回、団体主催でオープンしてきた料理店ではたくさんの「気付き」が生まれているといいます。

ある人は注文まちがえる料理店というものの空間の中で表現されていることというのは、ある種その寛容さの象徴であると。間違えっていうものに対して社会の側がそれを受け入れるっていうことによって、全然認知症の状態にあったとしても、思いっきり働くことができるじゃないと、輝くことができるじゃないと。つまり、その問われているのは社会の側であって、その社会の側が、その間違いであるとかミスであるとか、そういう風に思われていることを受け入れることによって生きやすい社会っていうのができるんじゃないっていうようなことを言ってくださった人もいましたし、自分自身が普段働いている中で、どうしてもギスギスした空気であるとかミスとか間違いっていうのを決して許されないような空気っていうのを職場でも感じている中で、この注文間違える料理店のことを知って「私が求めていたのはここかもしれない」っていうことで、夜行バスに飛び乗って注文をまちがえる料理店に来られたっていう方もいらっしゃいました。

皆さんだったら、注文した料理と違ったものが運ばれてきた時、どんな反応をしますか?

「ま、いっか」。

このマインドが広がることで、みんなが暮らしやすい社会になるのでは、と小国さんは続けます。

例えば満員電車。ベビーカーを乗せなきゃいけないっていう瞬間がある時もあると思うんですけれども、そういった時に『なんでこのラッシュの時間にベビーカー乗せるんだよ』って言ってSNSで炎上したりとか、議論になっちゃったりとかすることがあるわけですけど、そういった時に"ベビーカー専用車両を作りましょう"っていう形で、ベビーカーが自由に乗り降りできる。そういった専用車両を作るって、これは1つの解決策だと思うんですけれども、すごいそれには手間とかコストがかかる。そうじゃなくって、そういった時に、115センチずつ身を寄せ合う。ただそれだけのことで、ベビーカー1台分の空間が開くかもしれない。なんかそれが僕、社会受容っていうことだと思うんですね。わざわざ専用車両みたいなものを作るんじゃなくって、11人が、その15センチが集まることによって課題だと思っていたことが解決しちゃうっていうことがあると思うんですね。

で、注文をまちがえる料理店はまさにそういったことだという風にも思うんですけれども、注文を間違える料理店がやっていることっていうのは、別に認知症の状態を治しているわけでも全くないですし、法律を整えたわけでも、制度を整えたわけでもなくって、注文をまちがえる料理店っていう看板を掲げただけなんですよね。でも、その看板を掲げたことによって、お客様側の間違えるってことに対しての受容力、受け入れる力がものすごく上がっているわけですよね。この受け入れる力っていうものは、なんかいろんな形で上げることができるんじゃないかなっていう風に思います。

2017年にスタートして、有志によって全国に活動が広がっている「注文をまちがえる料理店」。今年9月21日の「認知症の日」に合わせて、全国一斉開催を企画しています。

東京は、9月20日と21日。東急プラザ原宿 ハラカド5階の「FAMiRES」というお店で開催予定。現在、この東京と、全国開催のサポートを呼びかけるクラウドファンディングをおこなっています。