今日注目するのは、誰もが自由に"お出かけできる街"を目指して活動を続ける団体、東京おでかけプロジェクト】です。インターネットやSNSで見かけた気になったお店や、行ってみたいと思った場所...。誰しもありますよね。

でも、出かけたいと思っても、街やお店のインフラ、そこに集まる人のまなざしが ハードルとなって、自由にお出かけできない方たちが、東京にもたくさんいます。

そのひとつが、医療的ケアが必要な子どもたちと、そのご家族の皆さんです。こうしたご家族が、少しでも安心して街に出かけられるように...そんな想いから この活動を立ち上げたのが、【東京おでかけプロジェクト】の代表、中嶋弓子さんです。

そのきっかけとなったのが、あるご家族との出会いでした。前職では資金をかけてご家族を支援する施設や居場所の整備をする仕事に携わっていたんですけど、ある時あるご家族との出会いがあって。「家族一緒にお風呂に入ってみたい」ということをおっしゃられたんです。知り合いの銭湯にお願いして「呼吸器がついているお子さんなんですがオープン前に入ることはできますか?」と入りに行くと皆さん快く出迎えてくださって。

そこで私は「なんでもっとお出かけしないの?」とご家族に聞いてしまったんです。そうすると「人の目が怖いからお出かけできない」と仰言っていて。迷惑をかけられない、人の目が怖いということがお出かけを阻んでいて。ご家族に必要なのは建物ではなく街の人達の目を変えていくことなんじゃないか、ということで立ち上げたのが東京おでかけプロジェクトだったんです。

ハード面、、、段差をなくしたり、スロープを設置したり、という配慮だけでは埋められない「家族と、街との距離」。だけど、お店も、街も、お出かけを拒んでいるわけではないんです。だからこそ、互いに知り合い、理解し合う必要がある、と感じた中嶋さん。

お互いのハード面と「ハート面」を整える必要がある。と考え、ごく一般的な接客のなかに、思いやりのある心の寄せ方。利用しやすい施設のあり方と、利用方法を 企業・ご家族と共同で考え、神保町や銀座などの街で展開。定期イベントとして 今も発信を続けています。

こうした取り組みを続けるなかで、中嶋さんたちが あらためて向き合っているのが、制度の網からこぼれ落ち、支援につながれずにいるご家族の存在です。

これまでたくさんのご家族に出会ってきた中で難病疾患というと診断がおりていないご家族も一定数います。例えば痙攣発作が起こったり特徴的な症状が出ているので「おそらく●●病じゃないか」と言われるんですが、しっかり診断がおりない。そうすると福祉手帳が受け取れない、補助金がおりない、家族会に繋がれない。孤立が加速していくんです。

そこにこの活動を届けたくて。結果的に私たちのイベントにこれまで1000名ほどご家族が参加してくれているんですが、そのうち30%は診断がおりていない/どこにも繋がれていませんでした、というご家族が来てくれるので。このひとときを通じてご家族の未来が変わるような時間を届けたいと思っていますし、ご家族の選択肢が増えていく未来を作っていきたいなと思っています。

医療的ケア児と、その家族にとっては 社会、仲間とつながるキッカケに。多くのお店、街にとっては誰もが利用しやすいサービスの拡張につながっている【東京おでかけプロジェクト】。

これまでの活動。そして今後展開予定のプログラムについては団体のウェブサイトをご覧ください。

東京おでかけプロジェクト