今朝は、大阪で50年以上にわたり洋傘を作り続ける【丸安洋傘 株式会社】が製作した1本の傘に 注目していきます。いま、その傘が目の前にあります。職人さんが手作りで仕上げた、という1本の傘。特徴は、、、雨を凌ぐ傘の部分が 2枚のメッシュ素材を重ね合わせて 形成されています。

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このメッシュを2枚重ねにすることで、何が起こるのか。。。...傘に当たる雨音が大幅に軽減される、そうなんです。そこでつけられた商品名が「サイレントアンブレラ」。このサイレントアンブレラ、、、どのようなニーズのもと作られたのでしょう。丸安洋傘の常務取締役、川口博文さんに 伺いました。

これ元々はね、うちの先代がまだ現役でやっていた時に、視覚障がい者の方から「静かな音の傘を作れないですか」っていう相談があったんですね。で、その時「どうしてそんなことを」って。今まで傘屋さんっていうのは、音の良い傘とかっていう形で売り出してたんですね。で、静かな音とか、今までにそういうニーズがなかったんで。聞くと、視覚障がい者は外に出た時に自動車の音とかを聞き分けて、周りの音を聞いて外に出るらしいんですよ。で、雨音がきついと不安になるそうなんですね。それで、静かな傘が作れないか、いうことでうちに相談があったんですよ。

JAFの調べによると、雨天時には晴天時よりも4~5倍も交通事故が発生しやすくなるそうです。周りの音を聞き分けて 移動する視覚障がいがある皆さんにとって、雨天時の外出は本当に危険だった...。そんな当事者から「傘にあたった時に 雨音のしない傘がほしい」というリクエストを受けて製作された サイレントアンブレラ。実際、雨に当たると 雪が傘に当たるようにファサっとした小さな音に 軽減されるといいます。2022年10月に販売が開始されると、すぐにたくさんの反響が届き始めました。

まず1番嬉しかったのはね、今まで傘を作ってきて、お礼言われるっていうのがほとんどなかったんですよ。で、この傘購入された方からは「こんな傘を作ってくれて嬉しい」っていうお声とか電話とかメールとかいただいて。今までにないようなことだったんで、嬉しかったですね。あとはね、聴覚過敏の方ですね。雨音で学校になかなか行けなかったらしいんですよ。嫌で、雨の日は。それが、この傘を見つけて親御さんが購入されて持たせたら行けるようになったということで、お礼のメールいただいたりとか。もう1つはね、今まで傘をさして話ができなかったのが話が成立したということで、使ったその日にお電話いただいて、「もう感動を伝えたくて」っていうことでお電話いただいたんですよね。これはもう本当にびっくりしましたね。

日本の傘職人の技術が詰め込まれた、サイレントアンブレラ。ちなみに雨音を軽減させるだけじゃなく、晴天時には日傘としても 使うことができるとか。雨音が辛い...。そんな経験をされた経験がある方はもちろん、そうでない方も、ぜひ丸安洋傘のウェブサイト、ご覧ください。オンラインでの販売も受け付けています。

丸安洋傘株式会社