今朝は、東日本大震災を語り継ぐために立ち上がった団体、【NPO法人 富岡町3·11を語る会】の活動に注目します。

福島県の浜通りにある富岡町は、震災発生の翌日から全町民の避難が呼びかけられ、今も一部、立ち入りが制限されている被災地域です。東日本大震災の発生後、富岡では何が起こったのか。その時、そこに暮らしていた人はどのような行動をとったのか。今、そして未来を どのように見つめているのか...。

富岡町 3・11を語る会では この震災を風化させないよう現在15名ほどの「語り部」が活動を続けています。

語り部活動が始まって 10年が経った2023年の夏。団体では、震災を知らない 若い世代に震災の教訓を伝えていくため高校生を対象にした新たな取組、「語り部キャラバン隊」を結成されました。

最近よく言われるのが、そうやって話をしていく人たちがどんどん高齢化して、話す人がやがていなくなっちゃうんじゃないか、と。持続可能な語り部活動っていうのを考えなきゃいけないって思ったら、次の世代に伝えていかなきゃいけないわけですよね。自分のこととして捉えられるような、そういう方法ってないかなって考えた。その時に「紙芝居を高校生が読む」ってのはどうだろうって思ったんです。紙芝居になっている色んな震災のお話を高校生が読む。自分は体験しているとか、体験してないとか、記憶にあるとかないとか関係なく、紙芝居の中の主人公の思いに立って読むんだ。っていう風にすると、意外と抵抗なく入っていける。で、そしたら、紙芝居だったら子どもたちが見るだろうと。高校生よりもっと小さい今の小学生とか幼稚園の子とか、そんな子たちにも震災の話、あるいは災害ってどんなものっていうような、そんな話がやっていけるんじゃないか。そういう発想のもとに、今年度始めました。

お話は、富岡町3·11を語る会の代表、青木淑子さんです。取材の中、「震災を知らない世代と被災した世代との"意識の違い"はあったとしても、多世代の価値観を認め合うことが、これからの東北には必要」とも語っていた青木さん。

その架け橋ともなるキャラバン隊の参加者を福島県中の高校で募ったところ、10名以上の高校生の皆さんが キャラバン隊に参加してくれました。新たな震災の教訓の語り部として、福島県内で活躍しているといいます。語り部の活動では、辛い体験だけではなく、未来の希望を必ず伝えるようにしているという青木さん。いま見つめる未来へのヴィジョンとは、なんでしょうか。

例えば私って「まだまだこの街は復興しないよ、復興してないよ」って言ったり、喋るんですね。「復興するためにみんなで考えていこう」みたいに。そしたら、ある時、高校生に「青木さんはどうなったら町が復興したって言えるんですか。」って聞かれたんですよ。何年か前なんですけど、その時答えられなくて。そこから考えて、具体的に私にとって町の復興ってなんだっていうと、私は、町に学びの場が戻ること。そうすると、街の中を 学ぶ若者が歩く。人が育つとか、人が学んでいくっていう、そういうことが町には絶対必要なんだと思うんです。人が育つ町は町も育つんですね。大きな工場ができたり、大きな企業ができて、そこにたくさんの従業員がわっと来ると人口が増える。って、そんなもんじゃないと思うんです。私にとっての復興は、町に学びの場ができることだと思ってます。

人が学び、街が育つ富岡町、そして日本を目指して震災の教訓を語り継ぐ 富岡町 3・11を語る会。詳しい取り組みは、団体のウェブサイトをご覧ください。

NPO法人富岡町3.11を語る会

【NPO法人富岡町3.11を語る会】X