今朝は、【一般社団法人ピースセルプロジェクト】...通称「PCP」の活動に注目します。この団体は、かつて戦争/紛争が起こり、たくさんの人が傷ついてしまった場所、イラクで子どもたちを対象とした 紛争"予防"プログラムを展開しています。

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詳しいお話を、現地で活動するピースセルプロジェクトの理事 兼スタッフの類家宏平さんに 伺いました。

私たちピースセルプロジェクトはイラクに拠点を置いて<絵本と演劇で紛争を止める>をコンセプトに活動しています。活動の柱が3本あって、絵本ワークショップ。演劇的手法を用いたコミュニケーションワークショップ。そして環境保護活動の3つを柱にして活動している団体です。私たちピースセルプロジェクト代表が高遠菜穂子と言います。で、2017年のイスラム国ISIL掃討作戦によって捉えられたISILの子供兵に少年院でインタビューをしました。その時に「父の敵」「兄の敵」そして「お金のため」など、テロ組織に入った理由を語った後、最後に少年たちが「復讐をされるから村には帰れない」と言いました。彼女が感じたことは「加害者側の更生・再教育と同時に、被害者を含むコミュニティ側にも(受け入れる)準備が必要だ」と強く感じました。それがPCPを作るキッカケとなりました。

復讐が復讐を生み、さらなる紛争に繋がっていく...この悲しみを断ち切るために 注目したのが、絵本、そして演劇が持つチカラでした。例えば、演劇のワークショップでは、、、泥棒が人の物を盗む場面。この場面だけ切り取ると、泥棒=悪人ですが、「なぜお金を盗まないといけない状態になってしまったのか。」その犯行に至る背景を見つめると、「同じ人として どんな声をかけることができるのか」、考えることができる、そんな気付きに繋がっていきます。

元々僕「演劇ってどうやって紛争解決に使うの。」みたいなところは(イラクに)来るまであまりわかってなかったんですね。ですけど、演劇を使ったコミュニケーションワークショップをやる中で、『1つの問題を役割を変えながら様々な視点で考えていく』ように、自分自身も参加者もなっていくっていう、、、その成長を見ることができました。ワークショップに参加した方の声で、「敵だと思っていた相手が、実は自分と似た立場で悩んでいるってことに気づいて、一緒になって最善の方法を探していくようになりました。」という感想をくれた方もいて。改めて、相手の背景を考える。そして、絶対に分かり合えないと思っていた相手のことを理解しようとする/考えようとするってチカラが演劇にはあるんだなと感じました。

日本人スタッフだけではなく、現地の皆さんを巻き込んで少しずつ活動が広がってきているというPCP。二度と戦争が起きない世界を目指して、新たなチャレンジにも取り組んでいきます。

実刑を受けていた元ISILの子供兵たちが今、徐々に刑期を終えて出所してきます。 で、冒頭で述べたように、彼らは復讐されるから村には帰れないと感じています。被害者が加害者になるっていうのは、まさに報復の連鎖。絶対に避けなければいけないことだと感じています。長い取り組みにはなりますがPCPでは、こうした特に若い世代を対象にした平和構築活動を具体的に始めようと計画をしています。例えば、異なる宗教を学ぶことであったり、平和を学ぶ授業に取り組んだり、元子供兵とコミュニティの子どもたちが一緒になって演劇や音楽などに取り組むことを考えています。

紛争は一度始めてしまったらもう止められないのが現実だと思っています。ですので、紛争を予防するという点で、11人が目の前の人を尊重して、「この人、絶対に分かり合えない」って思っていたとしても、少しでも相手のことを考えようとする/理解しようとするってところに近づいていきたいなと考えています。...言葉で言うのは簡単ですけど、少しでも思いを寄せられるような人が増えていく未来というものを、私たちは見据えて活動していきます。

人を思いやり、尊重できる 平和な社会の実現へ。私たちができるサポートもたくさんあります。詳しくは団体のウェブサイトをご覧ください。

般社団法人ピースセルプロジェクト