今朝は、東京のNPO法人マザーハウスの取り組みに注目します。団体が支援するのは、犯罪を犯し、刑務所で その罪と向き合い、償っている皆さん。そして、刑務所を出所された皆さんです。マザーハウス理事長、五十嵐弘志さんに受刑者が抱える課題について、お話をうかがいました。
刑務所って、社会との繋がりがない状況の中で、結局その人たちは刑期が終わったら、社会に戻ってくるわけですよね。社会に戻ってくるんだけど、社会との繋がりがないから、土台がないような状況です。そこに、ポンと帰れって言っても なかなか難しいと思うんですね。特に刑務所にいる方々の大半が、家族との関係性がもう壊れているんですね。その中で自分が社会に出てきて、部屋を借りて、携帯電話を借りたいとか、就職って...、正直な話、難しいと思います。だから、やはり社会全体として「この人も同じ人間だ」っていうものを見つめていかない限り、なかなか社会復帰後の回復・更生っていうのは、本当に難しいんじゃないかな、と感じます。
社会から閉ざされた空間で生活を送ってきた、その後。元受刑者の皆さんに向けられる、多くの偏見・差別の目。その結果、生活苦に陥り、再度犯罪に手を染めてしまうケースも少なくないといいます。実は五十嵐さん。ご自身も元受刑者として、その辛い経験を乗り越えた過去があります。「生活苦は 自業自得と言われるかもしれない。それでも、過去と向き合って、未来を見つめて、生きていく道を探したい。」その思いから、2014年にNPOを設立。社会と分断されてしまう受刑者が社会と繋がり続けるための文通プロジェクトや、出所者の生活サポート、居場所支援を長年 続けています。
去年の暮れに、京都の立命館大学でマザーハウスの当事者たちが学生さんと 触れ合いの場所を設けさせてもらいました。ディスカッションをしたんですね。それは元出所者の方々にとっては、大きな大きな力になったと思います。で、(大学生の皆さんからすると)そういった中で、目の前にそういった「元」の人がいるわけですよ。その会話を通してふれあいを通すと、「え、なんだ私たちと同じ人間じゃん」って思うわけですよ。私もよく大学で講義とかいろんな話をさせていただくと、やっぱり最初はみんなこわばるんですよ。だけど、話している中で同じ人間なんだなっていうことが、理解できてくんじゃないかなと思うんですね。その場所が、社会の中に少ないと思うんです。
犯罪を犯した人。そうでない人。みんなが対等で暮らしやすい社会に必要な視点とは、なんでしょう?
目の前の人の声を聞くことですよ。その声の中に、必ずその人の叫び声が入っているんじゃないかなと思うんですね。なんでも「悪い」「こういう人間はダメだから」って排除するんじゃなくて、排除の前に、その人たちの声を聞いて、そしてその人たちが回復できるようにみんなで支えていくんが1番いいんじゃないんかなって僕は思うんですね。誰かに「助けて」って声を言える社会とか、そういったもの。そして、その悩んでる人の話を聞いていただける場所がある、人がいるっていうことがもっと広がると本当に苦しい時に、、、自分の腹にあること言うことは難しいですけど、言える場所があれば、救われる人も多くいるんじゃないかなと思います。
NPO法人マザーハウス、理事長の五十嵐弘志さん。お話、ありがとうございました。誰でも、誰かに「助けて」を言える社会。その先に、みんなを思いやることができる社会が作られるはずです。マザーハウスの取り組み、ぜひチェックしてください。団体では寄付、支援を受け付けています。