今朝は、「注文に時間のかかるカフェ」、通称「注カフェ」の取り組みに注目します。20221230k01.png

ここは、1年に数回。全国各地でオープンする移動型店舗。注カフェで働く従業員の皆さんは、その土地で暮らす「吃音」に悩む若者たちです。吃音、、、話し言葉が滑らかに出ない。音を繰り返したり、引き伸ばしたりしてしまう、発話障がいを指します。発起人の奥村安莉沙さんも、吃音当事者の一人。幼い頃から接客業を夢見るも、吃音があるため、諦めていたといいます。

私が4年前ぐらいにオーストラリアに住んでまして、そのオーストラリアで、その吃音っていう私が2歳の頃から持っている喋りにくさっていうのをすごく肯定的に捉えられる機会があって。オーストラリアで働いていたカフェ。そこでは私みたいに言葉が喋りづらい人であったりとか、家がない人。あとは移民で、英語を勉強してる途中の人とか、そういう人たちが分け隔てなく働けているカフェで働いたときに「すごいこういうのだったら、私日本でも吃音があるけど、小さい頃から接客をしたかったって夢がかなえられるんじゃないかな」って思って。その帰国した後に【注文に時間がかかるカフェ】っていう構想を練ってました。

「言葉がスラスラ出てこない。」吃音に悩む従業員が安心して接客できる環境を作れないか。そんなアイディアから生まれた「注文に時間のかかるカフェ」。従業員には、自分が発言しやすい言葉で接客することを優先してもらうため、マニュアルのセリフがありません。こうしたコンセプトを受け入れ、来店されたお客さんとの間には、お互いを認め合う、とても優しい空気が生まれました。

オンラインで最初にある高校生に会ったんです。すごく背の高い肩幅が広いスポーツが大好きな男の子なんですけど、その時はもう目線も合わないし、言葉も出てこない。首のところが筋ばっているんですけど、声が出ないというところで、学生生活、結構苦労してきたのかなと思っていたんですけど、注カフェ当日すごくいい笑顔をしてくれたんですよね。それでその子がお客さんに話してたのをちょっと私も耳にしたら、「僕はアルバイトができるなんて夢にも思わなかった」って言っていて。「でもやってみると楽しい」って言って。それでこの前も会ったんです。この前会ったら人が変わってました。もうすごい晴れ晴れとした表情で、すごく背筋も伸びて、目線も私にしっかり合わせてくれて「人ってこんなに変わるんだな」って、すごく嬉しくなりました。

注カフェ発起人の奥村さんが目指すのは、みんなが人を思いやることが出来る、優しい世界です。

やっぱり理解し合うことかなって思ってて。想像でお互いに探り合いながらやるのって結構難しいと思うんです。だって吃音ってなったことない人からしたら、どういうこと?ってなると思うんですよ。声が出ないって。他の障がいで病気でもそうだと思うんですけど、まず信頼できる環境で、お互いにどうして欲しいのって聞く、本人の気持ちを尊重するっていうのはどんなことであっても、多分大切なことなんじゃないかなって思ってます。

みんな違う。それがいい。違いを認め合う社会を目指す注カフェ。来年も各地で開催が予定されています。関心をお持ちの方。ぜひサイトで開催地をチェックしてください。「注文に時間のかかるカフェ」の奥村安莉沙さん。お話、ありがとうございました。

注文に時間のかかるカフェ