今朝は、NPO法人Silent Voiceのアクションに注目します。団体は大阪府で、耳が聞こえない/聞こえにくい、といったろう・難聴児の子どもたちに向けた総合学習塾を経営。さらに オンラインツールを利用した対話授業「サークルオー」を展開して全国の聴覚に悩みを持つ子どもたちに学習支援をおこなっています。

こうした、ろう・難聴の子どもたちに向けたサービスがスタートした背景には、彼らが置かれている苦しい現状がありました。

オンライン対話授業「サークルオー」の事業責任者、井戸上勝一さんに詳しく伺いました。

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子どもたちの様子の中では、例えば学校の中で先生が授業中に話していることが音がなくの口の動きだけで理解しようと思っても100%の情報が入っていないので、なかなか授業の内容がわからないということであったり、友達同士でお話をしている中で、どこに遊びに行こうか、どんなスポーツを休み時間しようかって話でもその子だけそもそも議論の過程が情報として入ってこないが故に、決まったことだけを周囲から教えてもらうとか伝えられる。こういう経験を積むケースが非常に多いです。それによって子ども自身が自分で何か問いを立てて行動してみるとか、自分で何かを決めるという経験が非常に少なくなってしまう。そういう傾向が学校現場にはあるかなと思っています。

聞こえないから、コミュニーケーションが取れない。聞こえにくいから、やりたいことを諦める。そんな悲しい想いをする子が ひとりでも少なくなるように。

団体では筆記、手話、チャット...参加する子が一番得意なコミュニーケーション方法に合わせた授業をおこないながら人と触れ合う楽しさを発信。今では日本全国から 耳が聞こえない/聞こえにくい、といった悩みをもつ子どもたちが オンライン授業に集まるようになったといいます。サークルオーを運営するSilent Voice、井戸上さんはこの活動を通して、どんな未来を見つめているのでしょうか。

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僕自身、両親2人とも聴覚障がいの当事者でした。そういう経験の中で、やっぱり両親、僕から見るとできることがたくさんあるのに社会の中でうまく価値を見出してもらえる場面に出会えなかったりとか、コミュニケーションの壁でチャレンジする気持ちすら失ってしまっているっていう様子を子どもながらに見てきたりする中で、非常に、父親・母親から聞く幼少期の体験とかが今の子どもたちの置かれる状況と重なってすごく見えていた。そこがSilent Voiceに来たきっかけだったんですけども。その人たちだからこそ出来ることだったりとか、その人たちの可能性とか、そこをどんどん発掘したり土壌を作っていこうと思ったときに教育とか支援のあり方をどんどんアップデートさせていくっていうことに繋がっていくと僕は感じています。なので、今僕たちが一つ、いろんな新しい取り組みを聞こえない・聞こえにくい子どもたちの教育において進めている動きが社会的にも広がっていくと、より多くの人の必要な環境作りに繋がってくるんじゃないかって思っています。

井戸上さん、SDG'sが知られるようになり、多様な社会に近づいてはいるかもしれない。それでも、子どもたちを取り巻く環境や支援のカタチは井戸上さんのご両親が子どもだった頃と、変わっていない...。

だから活動を通して、みんながつながることの出来る社会を作っていきたい!...とも熱い思い、お話されていました。

聴覚の悩み。一見しただけでは、わかりません。

もしかしたら あなたの周りにも いるかもしれません。

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サポートが必要な子、保護者の方が近くにいたら、ぜひオンライン対話授業「サークルオー」、ご案内ください。

NPO法人Silent Voice