今朝注目するのは、去年12月渋谷区にオープンした"LGBTQフレンドリーな"就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリアセンター」について。就労移行支援事業所...。障がいがある人や 定期的に通院されている方の就職を支援する 障がい福祉サービスを指します。事業所自体は全国3500箇所以上で展開されていますが、「LGBTQフレンドリーな」就労移行支援事業所は、日本で初めてだといいます。

この事業所を運営するのは、これまでにLGBTQ+の皆さんの就労支援、キャリア支援を続けてきた 認定NPO法人ReBitです。代表理事の藥師実芳さんにこの事業所が立ち上がった背景について、お話をうかがいました。

ReBitは2013年から3500名を超えるLGBTQのキャリア支援をおこなってきたが、その中に一定数、精神障がいがある方がいました。そういった方々へは障がい福祉サービスの枠組みを使った方が支援がしやすいので今回立ち上げました。LGBTQであること自体は障がいではないですが、トランスジェンダーの35%が鬱を経験するなど精神障がいにおけるハイリスク層で、76%が福祉利用における不安や困難を経験している。一方で僕らがおこなう就労移行支援は3500箇所で行われているものの、87%のLGBTQの方がハラスメントや困難を経験して、セーフティーネットである福祉もなかなか利用できない現状がある。なので今回、障がい福祉サービスのひとつである就労移行支援事業所で精神・発達障がいのあるLGBTQの方の就労支援をしようと立ち上げました。僕らは「LGBTQフレンドリー」と謳っているので「LGBTであれば誰でも使える?」と訊かれますが、あくまで障がいがある方が利用できる場所。僕らはLGBT支援に強みがあるので、LGBTかつ精神・発達障がいがある方もご利用いただいている状態です。

ダイバーシティキャリアセンターでは、エントリーシートの記入や、面接の練習。パソコンスキルを鍛えたり、コミュニケーション能力の向上を図るレッスンのほか、LGBTQ+の社会人を招いた ロールモデル講座を実施。自分らしい暮らし方・働き方を学ぶ場となっています。今日で開業から1ヶ月が経ったダイバーシティキャリアセンター。活動の先に見つめるのは、社会がすべての個人を受け入れてくれる、優しい社会です。

教育事業を2010年に、就活生支援を2013年にスタートしたとき「LGBTQの子はいない、会ったことがない」と言われました。ただ今となっては学校現場の課題であって就活生のなかにもいることは周知の事実だと思いますが、一方で福祉の中でLGBTQを語り始めた時に様々な福祉事業者から「LGBTQで障がいがある方から相談を受けたことがない、本当に要るんですか?」と同じような反応を受けた。見えないし、この社会の中で言えないということで『いないこと』になってしまっています。これから、LGBTQも安心安全に福祉利用ができることを目指したい。複合的マイノリティといっているんですが、ダブル・トリプルマイノリティの人たちが福祉を安全に利用できていないこともあるという課題の可視化。その方たちがどうすれば安全に利用できるか、支援モデルを作って、行政や支援機関の皆さんと一緒に全国へ波及したいと思っています。

認定NPO法人ReBit、代表理事の藥師実芳さんお話ありがとうございました。無料の利用相談は、ダイバーシティキャリアセンターのWEBサイトで受付中です。一歩を踏み出すキッカケを探している方。ぜひチェックしてください。