今朝は ことし、日本で初めて誕生した災害対応船「いぶき」に注目します。

いぶきプロジェクトを立ち上げたのは、全国の自治体・医療機関と、国内外で人道支援、災害支援をおこなう団体認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが組み立ち上がった医療チーム、空飛ぶ捜索医療団ARROWS(アローズ)です。

大規模災害の備え。そして発生してしまったときの災害・医療支援を目的にスタートしたプロジェクト...。日本で初めて誕生した災害対応可能な医療船、いぶき。誕生の経緯について、そして、医療船について。いぶきの船長、杉本陸さんに、お聞きしました。

一度大きな災害が起きると、ありとあらゆるものが被災地は不足します。水だったり食料だったり、あるいは医療システムというのも一つも不足する要素です。そういう中で、船というものがあれば、海路を駆使して被災地にたどり着くことができます。今想定されている南海トラフ地震や首都直下地震だと、どうしても陸路が寸断されるということが考えられます。そういう中でも船で海からアプローチし、必要な支援を届け、1人でも多くの方を助けるというのが医療船の使命です。阪神淡路大震災の前後、特に以降はずっと病院船が必要だという議論を続けられていました。今でも国会で議論がされているところです。でもなかなかどうして「もう普段どうやって使うのか」とか「とても高いコストをどうやって維持するのか」というところで議論がなかなか進まず、まだ実現には至っていません。そういった中で私たちは民間ならではのフットワークを生かしまして、小さい船ですが、とりあえず一つ形にしてみようということで、このプロジェクトが始まりました。1から船を作るのはとてもお金がかかるので、今回私たちは浮島と観音寺市を結ぶ連絡船の中古を購入して、医療船として改造し、運用しているところです。

「いぶき」には8床のベッドが設置され、血液検査、尿検査、PCR検査がおこなえる設備を整えました。また、すでに大雨時の情報収集にあたるなど、本格的に活動がスタートしているといいます。まだ動き始めたばかりの医療船のプロジェクト。船長の杉本さん、プロジェクトをさらに進化させていきたいと語ります。

私たちはこのいぶきが完成形だとは全然思っていなくて、本当は医療船として担うべき役割はもっともっとあるんですね。あくまでいぶきはその可能性を生み出す最初の一歩のようなスタンスで考えております。私が一旦置いているゴールとしては、もちろん海外、東アジア太平洋島途上国を含めた国際的な人道支援・医療支援ができるような船を目指しております。東日本大震災のとき私はまだ学生だったんですが、やっぱり起こるかもしれないんじゃなくて、いくつか起こる災害だなっていうのが一つの実感ではあります。なので起こるとわかっている以上、それがいつかわからないけれど、今できることをコツコツと積み上げて、いく必要があるんじゃないかなと考えております。

いぶきは今年の秋、国民の半数が健康診断を受ける機会がないというパラオ共和国で 巡回診療船として活動する予定です。杉本さん、いぶき登場前は年間2000件以上の手術をおこなえるアメリカの医療船プロジェクトチームMercy Shipsで研修をおこない、対応にあたっていました。医療が届きにくい場所へ、海路を使い医療を届ける。海外での病院船の存在は まさに現地の方々にとって未来への希望だったと杉本さんは振り返ります。

日本から世界に羽ばたく日本の災害対応船プロジェクト!今後も動向、チェックしていきます。認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン杉本陸さん。お話ありがとうございました。