今日は、NPO法人 全国不登校新聞社の編集長の 石井志昂さんにスタジオへお越しいただきました。

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Q  全国不登校新聞社とは、どのような団体でしょうか?

不登校・ひきこもりの専門紙『不登校新聞』を発行している新聞社です。不登校新聞はよく誤解されるのですが「不登校を治すための新聞」ではありません。学校へ行く・行かないにこだわらず、不登校の人がこれからどう生きていくのか、そのための知恵や実体験を親や当事者がシェアするための新聞です。

Q  発足のキッカケは?

20年前に起きた「9月1日の子ども自殺」がきっかけだと聞いています。 しかし20年以上前から、不登校関係者のあいだでは夏休み明けの自殺に注視しており「学校へ行くか死ぬかしかない」と追い詰められた子どもに向けて発信したいというのが創刊のきっかけです。

Q  石井さんが参加された動機は?

私自身が中学2年生のときから不登校をしていたためです。18歳のときに『不登校新聞』の創刊号の企画で取材され、以後は、ボランティアで取材する側にまわり、19歳からスタッフとして働いています。

Q  利用者(購読者)は、どんな方々でしょう?

購読者は沖縄から北海道まで全国に3000人います。9割の読者は不登校家庭です。

Q  どんな理由から、子どもたちは不登校を選択するのでしょう?

文科省の実態調査によると、いじめを含む「人間関係」を理由に挙げた人が2人1人でした。ほかにも多いのは先生や部活、勉強を理由に挙げる人もいます。勉強を理由に挙げた人は「勉強ができない人」とはかぎりません。むしろ「勉強ができる優等生」ですが、親や周囲の期待ほど「自分ができない」と苦しむ人がいます。たくさんの理由が折り重なって、本人もガマンにガマンを重ねたけど、もう学校へ行けないという状態が不登校です。

Q  記事では、どんな内容を掲載されているのでしょう?

一番のメインは「当事者の声」です。不登校をしたときに何を感じ、そして不登校を経て何を感じているのか。ここに生きた不登校の姿があり、その姿から学ぶことが一番だと考えています。なので不登校新聞は当事者の声をメインにして、親や精神科医ら専門家、ときには樹木希林さんなど第三者の意見も掲載しています。

Q  「不登校」では、お子さんはもちろん、親御さんも悩みを持つものだと思います。不登校、という選択を、団体ではどのように捉え、発信されているのでしょうか?

不登校は「甘え」や「怠け」だと言われてきました。本人も「自分は弱いダメ人間だ」と葛藤します。親だって自分を責めます。育て方が悪かったのかもしれない、働きに出たのがよくなかったのかもしれないと思います。でも、けっしてそうではないんです。学校へ行かないのは、その人なりの理由があるからです。子どものころはすぐ言葉にできないかもしれませんが、学校へ行けないのは、その人がその人らしく生きていくために必要な理由があったからです。けっして譲ってはならない理由があったからです。学校へ行けないことを悪にするのではなく、その人がその人なりに生きていくための手段として不登校、つまり「学校外の道」があってもいいのではないかと思っています。

Q  最後に、この活動を通して発信したい想い、教えてください。

一番伝えたいのは、創刊したときの思いです。学校だけが生きる道ではなく、不登校になったから人生が詰むわけではないということです。

不登校新聞のウェブサイト