今朝はジャパン・プラットフォームから海外事業部長の柴田裕子さんにお話を伺いました。
Q まずは「ジャパン・プラットフォーム」とはどのような団体なのでしょうか?
JPFは、日本の緊急人道支援の新しいしくみとして2000年に誕生したコンソーシアム、中間支援団体で、現在48の日本のNGOが加盟しています。当時問題となっていた、コソボ難民への人道支援が世界中に求められていた中、日本の各NGOには単独ですばやく包括的な支援を行う財政基盤が十分にはなく、支援を必要なタイミングで届けることができませんでした。当時、世界のどこかで緊急人道支援が必要となったとき、日本のNGOはまず募金からスタートして、1ヶ月後にやっと現地入り。遅すぎて国際支援の輪に入れなかったというのが実情でした。
この経験を教訓として、NGO、企業(経済界)、政府(外務省)が対等なパートナーシップの下それぞれのリソースを持ち寄って、日本の緊急人道支援の、スピーディで効果的な実施という目的に向かって連携していくという構想が実現しました。具体的には、企業、政府により事前に資金をプールしておき、緊急時にNGOがその資金を使って、現地で活動することになります。今では、例えば、今日どこかで大規模な地震が発生しても、24時間以内には現地に出発することが可能になっています。これがJPFの特長であり強みです。
Q 具体的にどのような活動を行っているのでしょうか?
JPFは、国内外の地震、台風被害などの自然災害への災害支援、シリア、イラクなどでの難民、避難民への緊急人道支援などを行っています。具体的には、例えば、昨年フィリピンを襲った大型台風ハイエンへの被災者支援を行いましたが、20の団体が出動し、食糧配布、簡易住居の提供、学校の修復活動などを行いました。また、シリアではの難民、避難民の方々に対し、緊急の食糧支援、教育支援、水施設の提供、越冬支援など、様々な人道支援を展開しています。
JPFは、特に企業とNGOの連携にも力を入れています。東日本大震災では、多くの企業から物資の提供をいただきました。海外においても、企業から無償での物資輸送をしていただいたり、衛星携帯電話の貸し出しをしていただいたりしています。また、最近では、イラクでの避難民の方に対し、企業からの衣料の提供を受け、現地で活動する団体が、その配布準備を行っています。JPFとしては、各NGOに資金の提供をするだけでなく、その後、資金が適切に執行されているかを確認するため、現地を訪問し、事業の進捗を実際に確認するという機能も持っています。
Q 主にどのような支援プログラムがあるのでしょうか?
現在、国内外11のプログラムを展開しています。具体的に3つほどご紹介しますと、シリアでは、「シリア紛争人道支援」として2012年11月からプログラムをたちあげ、現在は、シリア国内とその周辺4か国(レバノン、イラク、ヨルダン、トルコ)の難民キャンプ内外において、13のJPF加盟NGOが31の支援事業を展開しています。このエリアは、冬は最低マイナス20度に行くこともありますし、夏は50度にも達するという厳しい環境です。着の身着のままに逃げてきて間もない難民の方々には食料や衣類など物資的ニーズが高い一方、長びく紛争下で、難民としてホスト国に定住せざるを得ない人々には教育など長期的なサポートが求められるなど、必要とされる支援も多岐にわたっています。NGOというと、一般のボランティアと同じような感覚をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、JPF加盟NGOの活動は、各分野のプロフェッショナルとして国際社会と足並みを揃えて活動を実施してきています。
そして昨年12月にフィリピンに上陸した台風22号(ハグピート)に関しては、フィリピン沿岸部の甚大な被害の可能性を予測し、迅速に緊急支援を行うための事前調査を目的に、JPFとして台風上陸前に現地へ出発し、被害の起こる前に現地支援関係者との連携を進めました。現在は、JPFの「フィリピン台風ハグピート被災者支援2014」プログラムとして、フィリピン現地事情に精通したJPF加盟NGOが、現地に必要なニーズをきめ細やかに把握しながら支援活動を進めています。
また、「東日本大震災被災者支援」では被災地の方々が立ち上がれるよう、震災の年に、加盟団体だけでなく多くの地元NPOなどにも助成対象を広げた「共に生きる」ファンドを立ち上げました。地元の方々には、資金助成のみならず、特に運営のためのサポートや情報共有など、支援者間をつなぐ支援を評価していただいています。
Q 放送を聴いたリスナーの方が参加できることは何かありますでしょうか?
NGO、経済界、政府がパートナーとなってJPFのしくみは、日本の市民社会全体で、国内外で起こる災害や紛争の被災者に対して支援活動をしていくことを目指しています。日本のNGOによる人道支援は、まだまだ認知度が低く、寄付、というと国連や赤十字しか浮かばない人も多いと思います。日本のNGOもいい活動をたくさん実施しているのに、とても残念です。まずは、NGOの活動を知り、広めていただくことが、大事な支援になります。直接、NGOに寄付することはもちろんですが、それ以外にできることはたくさんあります。
たとえば、JPFの活動や各NGOの現地からの活動報告は、HPや、Facebookでとても頻繁に更新しています。テレビのニュースで知った、世界各地での災害や紛争の被災者に対して、日本のNGOがどのようにアクションしているのか、ぜひ興味を持ってチェックしていただければと思います。またFacebookシェアなどで、ご友人や大切な方々に伝えていただくことも私たちの活動を支える力になります。