「芸能界に公正取引委員会のメス」(朝日新聞)
公正取引委員会はきのう、音楽・放送業界の契約やトラブルをめぐる初の実態調査の結果を発表しました。調査は依頼した芸能事務所の3割に当たる810社から回答があり、俳優、歌手、タレントら芸能人、テレビ局、レコード会社からも聞き取りをしています。
俳優ら芸能人との契約は全て口頭だけという事務所がおよそ3割。事務所の移籍や独立妨害され、芸名の使用を制限された例も寄せられています。かねてから働き方の多様化に伴って人材獲得競争が激しくなる、との予想から「個人」として労働法が適用されない状況で働く人たちを巡る取引について、公正取引委員会は注目していて、2018年には独占禁止法上の問題になる想定事例を公表していました。
実態調査の実施は今回が初めてで、調査結果をもとに来年以降に、ガイドラインを打ち出す方針とのことです。調査はテレビとともに成長してきた日本の芸能界の特有の構造をあぶり出しています。ただネットの隆盛でテレビ局の広告費は減少し影響力も低下。大手レコード会社関係者は「かつてはテレビへの露出が途絶えることはタレントにとって致命的で、局とパイプのある事務所の言うことが絶対だったが、近年それが崩れつつある」としています。ある業界関係者は「スケジュール管理や経理処理も含めて一人でなんでもやりたくてできる人と、芸能の仕事に集中したい人がいるので、今後は大手と個人事務所に大きく二分していくのではないか」とコメントしています。