「静かに進む日本人の海外流出」(朝日新聞の1面)

外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2022101日現在で永住者は過去最高のおよそ55万7千人になりました。新型コロナ禍で留学や海外駐在などでの長期滞在者が減少する一方、より良い生活や仕事を海外に求めた人などの永住者の方は前年比でおよそ2万人増えたということです。この最新統計は先月下旬に発表されました。

この統計は、3カ月以上海外に暮らし、現地の大使館などに在外届けを提出した日本人に関するデータを外務省が毎年推計しているものです。これによると海外で暮らす日本人の合計はおよそ130万9千人で、その内訳は長期滞在者と永住者にわけられています。

長期滞在者はおよそ751千人とコロナ禍で3年連続で減少しました。逆にがおよそ55万7千人でした。

原則として住んでいる国で永住権を取得し、生活の拠点を日本から海外に移した「永住者」は20年連続で増加していて10年前と比べておよそ14万人超増えています。地域別では北米(27万4千人)、西欧(9万人)、豪州・オセアニア(7万6千人)が多く、男女比は女性がおよそ62%と多くなっています。

永住権は普通、移住してすぐ取得できるわけではなく、例えば留学して職をみつけて永住権を申請するといった、数年がかりの段階を踏むことが一般的。永住者の増加は、数年前の日本人の移住の動きと関連していることになります。

人口問題の専門家は「賃金や労働環境、社会の多様性などの面で、日本よりも北米や西欧諸国に相対的な魅力を感じる人が多くなっているのではないか。閉塞感が解消されなければ、永住者の増加傾向は今後も続くだろう」と分析しています。