「芸能界で徹夜仕事77%」

芸能人の過酷な労働環境、代表的なものに映画界が劣悪だとして近年、訴えが目立っています。俳優やスタッフらが実態を語り、相談窓口など救済方法を探り始めました。

2021年9月設立の日本芸能従事者協会では、俳優、歌手、ダンサー、スタントマンのほか、映画監督、演出や照明、音響などのスタッフを広く「芸能従事者」と捉えて、様々なアンケート調査をしています。

「徹夜仕事の経験が77%。半数以上が年収300万円以下で、ケガをしても労災が認められないケースがほとんど」。俳優として映画界を中心に活動してきた代表理事はコメントしています。

新型コロナウイルス感染が拡大してはじめて、こうした調査が行われ、実態が明らかになってきました。伝統芸能や放送では、コロナ禍の少し前に「働き方改革」が関連法への対応も含めて一部で始まりました。

歌舞伎では1カ月興行に休演日が設けられ、NHKの連続テレビ小説は週6話から5話に変わりました。一方で映画界は、製作費の大幅な減少など構造的な問題があり、特に大きなスポンサーがつかないインディーズ映画の多くで製作費を抑えるため撮影期間は数日、年配の俳優が夜中まで働くという例や、ギャラの不払いや、チケット購入ノルマを出演者に課すケースもあるとのこと。

少しずつですが前進もあり、20214月からは労災保険に芸能従事者が特別加入できるように。今年6月には、臨床心理士による相談窓口「芸能従事者こころの119」も開設された。映画監督の是枝裕和氏らは今年6月に労働環境改善のため、フランスを参考にした新たな組織づくりを目指す団体の設立を発表しました。