きょう6月10日は「時の記念日」です。それにちなんで、この時間は世界の「時間感覚アレコレ」というテーマで2つの国と回線をつないでお話を伺います。たとえば、プライベートやビジネスの場面での待ち合わせみなさん時間ぴったりにいらっしゃるんでしょうか?遅れるのがマナーなんていう国もあるとか・・・さらには、お国柄が出そうな「遅刻の言い訳」についても伺います。

●イタリア・ミラノ在住 / 田中 美貴さんです。

Q1 イタリアの時間感覚、日本と比べてどうでしょうか?

A1 日本と比べるとかなりゆるいです。約束の時間の前にイタリア人が来ているということは基本的にありません。ただ、遅れ具合は地方によって違います。傾向としては南イタリア(南に行けば行くほど?)時間を守ると言う感覚は薄れ、1~2時間遅れる人もいます。お互いが期待をしていませんし、イタリア人は集団で出かけることが多いので、何人かが遅れてもそのまま進んでいきます。一方、北部では約束の時間を守る人が多いです。ミラノ辺りだと、それでも多少遅れはしますが、オーストリア国境のほうに行くと、日本人並みの時間厳守です。

Q2 南にいくほどゆるくなるというのは面白いですね!たとえば、ビジネスの場での時間感覚はどうでしょう?

A2 ビジネスの場合は、あまり時間には遅れないほうが好ましいとは思います。(これも地方に寄りますが)。ただ、時間より前に来ているとちょっと迷惑がられる感はあります。先方の会社に伺う場合などは、いずれにしてもレセプションなどで待たされて、アポの時間より後に相手が登場するのが常なので、約束の時間より早く行っても意味はないです。その代わり、こちらが多少遅れて行ったところで場の雰囲気がまずくなることは全くありません。

Q4 プライベートな場面、たとえばデートでの時間感覚はどうなんでしょう?

A4 デートについては個人差もありますが、何回目かにもよるかもしれません。初めてのデートとかはさすがにイタリア人でも力の入れ方が違うので、それほど遅れることはないと思います。(やればできるので、本当に遅れてはいけない時は絶対遅れません。例えば電車に乗るときなども、出発時間の15~20分前には駅についていたりします)ある程度親しくなると、(男性が)家に迎えに行くようになるので、そのあたりからは約束通りの時間に着かなくなり始めます。

Q5 では、ホームパーティーへのお呼ばれなどの場合は?

A5 ホームパーティーは、(先ほどビジネスマナーのご提案としてでてきましたが)、約束の時間より前には到着しないのが、暗黙のマナーです。とはいえ、さすがにホームパーティーの場合は大幅に遅刻する人はいません。

Q6 各国の特徴が良く出ると言われる「遅刻の言い訳」、イタリアならではの言い訳ってあるのでしょうか?

A6 ミラノやローマの言い訳の定番は「車の渋滞」、「駐車場がみつからなかった」。または「公共機関の遅延やスト」。他によくあるのが「工事が来る予定だったのが遅れた(または来なくて待っていた)ので、家から出られなかった」「家から出ようとしたら用事を頼まれた(ご近所とか管理人とか)」または「来る途中で知り合いに会ってしまった」または「約束は10時じゃなくて10:30だったよね?」という感じに、さも誤解があったかのようにアポ自体を遅い時間にすり替えて言い張るパターンも。ただ、最近はメールやメッセージ等、書面で残っていることが多いので、使えなくなってきましたが。...という感じで、基本的には他人のせいです。

●ブラジル・リオデジャネイロ在住 / 藤井 陽樹さん

Q1 ブラジルのみなさんは時間に関してラフなイメージがあるのですが、藤井さんの印象はいかがですか?

A1 基本的にはとてもラフですね。ただ、「状況によって自分で判断して行動する」という共通認識というか習慣があるので、人によっては信じられないくらいラフな人というのはいます。

Q2 例えば、ビジネスの場で大事な用事があった場合はどうですか?

A2 国際的な取引をするような機関はしっかりしていますが、国内でのビジネスであれば大事な用事でも「状況によっては遅れることはありうる」という認識は必ずあり、その場で臨機応変に対応するのがとても上手なのがブラジルです。

Q3 奥様はブラジル柔道男子代表の監督でいらっしゃいますが、スポーツの現場での時間感覚はどうなんでしょうか?

A3 代表選手レベルの合宿や練習などはそこまでひどく遅れたりすることは少ないです。でも、習い事レベルであれば生徒が遅れてくるのは当たり前ですし、先生が遅れてくるのも当たり前ですので、お互い様な感じです。ただ、唯一人が絶対に遅れないのが週末の草サッカーです。土曜の朝7時に開始なのに、6時50分には大半の人が到着しています。理由は、早く到着した順にチームを作りすぐプレーできるからで、遅刻すると自分がプレーできる時間が減ったり弱いチームに入れられることがあるからです。フットボールにかけるこだわりは驚かされます。だいたいみんな寝不足か二日酔いでコンディションは最悪ですが。

Q4 そして、各国ならではの特徴が出そうな「遅刻の言い訳」ブラジルらしい言い訳ってあるのでしょうか?

A4 よくある言い訳は、「渋滞だった」「バスが止まってくれなかった」「バスが来なかった」「バスが満員で乗れなかった」「乗っていたバスが故障して止まった」などですね。また、私が日本人だということをわかったうえで「急遽ジーコに昼ごはんに誘われて遅れてしまったんだ。ジーコのことはリスペクトしてるだろ?」と実際に言われたことがあります。絶対嘘だと思ってジーコのインスタを見たら日本の鹿島にいましたね。