「ECはあえてゆっくり宅配」(日本経済新聞)

フリマアプリ最大手のメルカリが数日遅い配達を選べば送料を安くするという戦略を示しました。日本の宅配便の取扱数は年間50億個に迫り運び手が足りない「宅配クライシス」が深刻化。そこで配達日程に幅があれば、余裕のある日に荷物を回せるので、速さを競ってきたEC(電子商取引)業界に一石を投じる方針転換です。

メルカリは去年物流子会社「メルロジ」の設立。コンビニエンスストアなどで商品を投函できる「メルカリポスト」を、24年までに8千カ所に増やすことを発表しています。背景には「日本の宅配便取扱数のおよそ1割、コンビニ発送の約8割がメルカリの出品物」という現状があります。2024年4月から法律で時間外労働が月平均80時間以下に制限される予定で、ある物流大手の幹部は「このままでは運び切れなくなる」と懸念しています。

従来ECの主流は「安く早く」で、日用品などはすぐ手に入れたい消費者が多いものの、趣味的な品はそうでもないことが多いようです。メルカリの利用者6千人へのアンケートでは、取引される品物の9割が「数日遅れても良い」という回答が明らかになっています。