「隠れ介護をなくせ」(日本経済新聞)

団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」が迫っているなか、ハウス食品グループ本社が21年9月から国内グループ15社の全社員約4300人を対象に介護研修を始めました。介護と仕事の両立支援を手掛ける会社が、グループ社員の調査をすると1割弱が介護中、半分が「3年以内に介護に直面する可能性がある」という結果が出ました。40~50代に限ればその割合はおよそ6割にも達する、とのことです。つまり中核社員の多くが仕事と介護の両立に直面することになり、個人で負担を抱え込むと「隠れ介護」が経営リスクとなりかねません。

仕事をしながら介護もする「ビジネスケアラー」の多くが40~50代に集中し、職場で責任ある業務を担っている従業員の多くが長時間労働を強いられているという現実があります。そして3割が「介護しながら今の仕事続けられない」としています。

介護をしなければならない、となると、地域包括支援センターに要介護申請の一部代行を依頼するなど、公的支援制度の活用が欠かせません。こうした制度を活用すれば介護の体制を4日程度で構築できますが、独力では40日程度かかる、とされています。こうした準備で仕事を休むと仮定すると、独力では作業すると制度利用の場合と比べて日本全体で1.8兆円の経済的損失になる、という試算もあるようです。