「クラウドが増えて電力消費も大幅増加」(日本経済新聞)

クラウドのデータセンターには熱を多く出すサーバーやルーターが設置され、冷却用にファンを回すなど大量の電力を消費します。

大型の設備で1カ所あたり10万キロワット規模の電力供給が必要で、これは原発0.1基分にあたります。電力業界関係者が「爆食」とも呼ぶ電力需要で、世界の大規模データセンター拠点数は20年10~12月期に597と、5年前の2倍になっています。

今後も5Gの普及などで、こうした傾向は続くことが考えられ、当然二酸化炭素の排出増にもつながります。そこで大手企業ではESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から電力を再生エネ由来に切り替えています。

先行するのはGAFAなどのアメリカ企業で、グーグルは30年までにデータセンターだけではなくオフィスも含めてCO2を排出しない「カーボンフリーエネルギー」で運営する目標を立てています。アマゾンドットコムは日本のデータセンター向けに、再生可能エネルギーの調達を目的とした発電所の新設を検討していて、商社や電力会社と協議中と報じられています。実現すれば国内初のアマゾン専用の発電所となります。

日本企業では富士通がデータセンターから提供するクラウドサービス向けの電力を2023年3月末までに全て再生エネルギーにするべく、先月から順次切り替えを始めました。しかし国内では全体の電源構成のうち、再生エネルギーの比率は発電量全体の2割前後にとどまっています。3割を超える国が目立つヨーロッパと比べると再生エネルギー電源の設置が遅れています。