「アメリカのバイデン大統領就任100日」

現在のアメリカ現地時間では4月29日、バイデン大統領が就任してからちょうど100日目にあたります。就任から100日間は「ハネムーン期間」とも呼ばれていて、まずはお手並み拝見という見方があるようです。トランプ前大統領とは異なる、新しい政策を次々と繰り出して来たバイデン大統領に対しての評価はどうなのでしょうか。今朝はニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんに今の状況についてお伺いします。

JK:現在そちらは夕方ですが、今日のメディアではどう伝えられていますか

津山:昨晩、水曜日の晩にバイデン大統領の一般教書、つまり今年の方針を発表する上下院合同会議があったので、それ一色。歴史的瞬間が二回あった。大統領の後ろに座る上下院議長が二人とも女性だった。上院議長は、副大統領が兼任するためで、「サンキュー、マダム・バイスプレジデント」とバイデンが言うと歓声が上がった。「この演台からこの言葉を発した大統領はいなかった。もういいだろう」とバイデン。もう一つは、「白人至上主義はアメリカを脅かす最大のテロリズムだ」と言ったとき。黒人のオバマ元大統領には絶対に言えなかった言葉。バイデンが、自分が白人の特権階級と認識しながらもきっぱりと言ったのは、感動した。

JK:100日の評価についてはトランプ前大統領などと比較してどうでしょう?

津山: NBCの調査では、「よくやっている」という評価がバイデンが44%、トランプが35%、オバマが54%。一般教書でわかったバイデンのメッセージは、「政府はあなたたちと共にある。支援する。だから、各々の義務を果たそう」というもの。つまり、ワクチンを供給し、コロナ対策の1400ドルの現金支給などをするから、国民は、ワクチンを打って経済再開のための役割を果たそうというものだった。トランプの場合は、コロナの最中も行き当たりばったりで、そういうメッセージはなかった。

JK:富裕層の税金を上げて福祉にまわす施策はどう評価されていますか?

津山:これは行政の権限が拡大される「大きな政府」という民主党の方針が反映されたもので、当然ながら共和党の支持者、特に富裕層にとっては反発が予想される。とはいえ前政権の間でも、大きな政府に対しては半数を超える支持を集めていたため、今後の政権運営に支障が出るとはあまり考えられない。

JK:トランプ大統領、その支持者たちはどう行動しているのでしょうか?

津山:トランプの「第45代大統領オフィス」からは毎日2通のメールがくる。「チャイナ・ウイルス」「偽の選挙」「めちゃくちゃなバイデンのリーダーシップ」という言葉が毎日含まれているため、メールを受信する支持者の一部は、それを信じているのだろう。トランプは毎朝ゴルフをして、そのあとは2024年の大統領選挙で返り咲くためのミーティングを繰り返していると伝えられている。

JK 蜜月が終わり、厳しい見方も出てくると思いますがどうなりそうですか?

津山:コロナの感染は少しずつ収まり、経済再開への道筋が見えてきた。しかし後は、移民、銃の問題など、根深く、オバマ元大統領も解決できなかった問題が表面化してくるため、政権にとっては厳しい道のりになるだろう。

JK ありがとうございました。お話いただいたのはニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんでした。